
| 名称 | フラガラッハ(アンサラー) |
|---|---|
| 神話体系 | ケルト神話 |
| 所有者 | ルー |
| 製作者 | 不明 |
| 形状 | 海神の宝剣 |
| 主な能力 | 突きつけられると嘘がつけなくなる どんな鎖も切断する 鎧を紙のように貫通する |
まいフラガラッハはケルト神話に出てくる光と太陽の神ルーの武器です
フラガラッハは現代のゲーム作品では「敵の攻撃に対してカウンターを決める最強の剣」として描かれることが多いですが、神話の原典における「回答」の意味は少し違います。
それは喉元に突きつけられた者が「決して嘘をつけなくなる(真実を回答する)」という、魔法の尋問能力でした。
海神マナナンから光の神ルーへ、そして英雄クー・フーリンへ。
ケルト神話の主役たちに受け継がれた名剣フラガラッハについて、以下で詳しく解説していきます。
フラガラッハ誕生秘話


フラガラッハはケルト神話に登場する剣です。
製作者は神話には明記されていませんが、ケルト神話最高の鍛治の神ゴブニュ製説か、ティル・ナ・ノーグ(常若(とこわか)の国)の魔力の結晶説が有力です。



フラガラッハは海神マナナンから光の神ルーに受け継がれた「異界からもたらされた魔法の宝具」であることしか神話では触れられていません
ケルト神話には神々の武器製作を一手に引き受ける伝説的な鍛治師・三神工(三人の職人の神)がおり、ゴブニュはその一人で鍛治の神です。
ゴブニュが打った槍や剣は、必中と必殺の能力を持つという伝承があります。
また神々の戦い(マグ・トゥレドの戦い)でダーナ神族のヌアザやルーたちの武器を供給していたのもゴブニュでした。
フラガラッハもダーナ神族の最高ランクの武器である点から、「当時の最高の鍛治職人ゴブニュが鍛えた」と考えるのが最も自然です。
一方で、フラガラッハの最初の持ち主である海神マナナンはティル・ナ・ノーグの支配者でした。


Heroes of the dawn – illustration to face page 246.(1914年)
ティル・ナ・ノーグには魔法の杯や魔法の船など、不思議なアイテムも数多く存在します。
そのため、フラガラッハも誰かが製作したものではなく異界の魔力によって生み出された「神秘の結晶」である可能性も考えられます。
フラガラッハの能力


フラガラッハには特殊能力と戦闘能力の二つの側面があります。
- 「回答者(アンサラー)」の能力
- 絶対的な切断力
フラガラッハ最大の特徴は、この剣を突きつけられると「嘘をつくことができなくなる」という能力です。
この「回答者(アンサラー)」の能力は、戦場での尋問や裏切り者の判別において絶対的な効果を発揮しました。



問いに対して必ず「真実の答え(アンサー)」を返させることから、「回答者(アンサラー)」と呼ばれたと言われています
またフラガラッハは3つの力で戦闘力も最強クラスでした。
- いかなる防御も貫通する
- つけられた傷は癒えることがない
(北欧神話のダーインスレイヴと同じ効果) - 風を操って敵を吹き飛ばす能力
フラガラッハに別名「回答者(アンサラー)」はこの攻撃力によって、「一撃で死の解答を得る」という意味もあったという解釈もあります。



この特殊能力+物理面も最強という設定で、フラガラッハは現代作品でも愛される武器なのです
フラガラッハの所有者はルー


フラガラッハの所有者は光と太陽を司る神ルーです。
もともとはティル・ナ・ノーグの支配者で海神のマナナンが所有していましたが、フォモール族との戦い前に「異世界の宝物セット」をルーに貸し与え、この中にフラガラッハも入っていました。
マナナンの「異世界の宝物セット」
- 魔法の馬(アンヴァル)
- 魔法の船(静波号)
- 魔法の鎧と兜
- 魔法の剣(フラガラッハ)
ルーは全身を装備し、フラガラッハを腰に下げていました。



ちなみに神話の中でルーがフラガラッハで大暴れする様子は描かれていません
フラガラッハはクー・フーリンに受け継がれていた可能性


Cuchulain in Battle.(1911年)
光の神ルーに受け継がれたフラガラッハは、実はケルト神話最大の英雄クー・フーリンに受け継がれたのでは、という考察があります。
クー・フーリンの武器はゲイ・ボルグが有名ですが、「クルージーン(Cruaidin)」という剣も持っていました。



むしろゲイ・ボルグは切り札的存在で、同格以上の相手にしか使われませんでした
このクルージーンは3つの理由からフラガラッハではないかと言われています。
- 父から子への継承
ルーとクー・フーリンは親子なので、父から息子へと受け継がれたのではないか - 特徴が似ている
フラガラッハもクルージーンも「眩しく輝く」「水も切り裂く」という特徴が一致している - 伝承の中で混同された可能性
伝承は口伝で変化しやすく、「英雄の剣は光るすごい剣だ」→「神の剣フラガラッハではないか」と混同された可能性
正確には、神話の原典にフラガラッハがどうなったかの記載はありません。
二本の剣の特徴や、ルーとクー・フーリンの親子関係から神の剣フラガラッハが名前を変えて継承されたのではないか、というロマンある考察がされているのです。
フラガラッハにまつわる神話


フラガラッハにまつわる神話・伝承をまとめました。
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「トゥレンの子らの最期」でルーの最強装備として登場した
フラガラッハ最大の出典が「トゥレンの子らの最期」での登場シーンです。
フォモール族との戦いを前に、光の神ルーは海神マナナンから借りた装備で全身を固めて現れました。


このとき神話ではフラガラッハについて以下のように語られています。
- マナナンの剣、回答者(フラガラッハ)が腰に吊り下げられていた
- この件が一度でも抜かれれば、どんな盾でも鎧でも防ぐことはできない
- この件で傷つけられた男が生き延びたことはない(回復不能)
神話の中でフラガラッハを使った戦闘シーンはありませんが、フラガラッハのスペックが語られた重要なシーンといえます。
「アイルランドの神判」で嘘を暴いた
フラガラッハ(あるいは同一視される剣)が「回答者(アンサラー)」と呼ばれる理由を示す神話があります。
コルマク王(アイルランドの上王)の時代、ソフト(Socht)という男が祖父から受け継いだ不思議な剣を持っていました。
あるとき執政官がその剣を欲しがり、偽装工作をした上で「その剣は私のもので盗まれたものだ」と主張します。
しかし法廷で剣を調べると、剣そのものが人間の言葉を喋り出して「執政官が嘘をついている、私はクルージーン(クーフーリンの剣)だ」と真実を暴露したのです。



「喉元に突きつけられて嘘を封じられる」だけでなく、「剣自体が意思を持ち、嘘つきを告発する」、まさに「回答者(アンサラー)」と呼ばれるに相応しいですね
フラガラッハが現代作品に与える影響


フラガラッハは、現代の日本において「能力が大幅にアレンジされて有名になった武器」の代表例です。



日本のおけるフラガラッハのイメージはゲーム「Fate/hollow ataraxia」に大きく影響を受けています
「Fate/hollow ataraxia」に登場するバゼット・フラガ・マクレミッツが使用する宝具「斬り抉る戦神の剣(フラガラッハ)」は、後出しジャンケンの因果逆転のカウンター技※を持っています。
これはフラガラッハの「回答者(アンサラー)」を、相手の攻撃に対して先に致命傷を与えるという「答え(アンサー)」を返す、という独自解釈から来ていると考えられます。
現代のゲームファンにとってフラガラッハは「最強のカウンター武器」ですが、神話原典では「最強の尋問用武器」でした。
- 現代ゲーム:敵の攻撃に対して「死」という解答を返す
- 神話原典:敵の喉元に突きつけて「真実」という解答を強いる



どちらも「相手になす術を与えない」という点では共通しており、現代解釈のアレンジセンスを感じますね


