
| 名称 | 八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ) 八坂瓊曲玉(表記揺れ) |
|---|---|
| 神話体系 | 日本神話(記紀神話) |
| 所有者 | アマテラス → 歴代天皇 |
| 製作者 | タマノオヤ(玉祖命) |
| 形状 | 長い緒に通された、赤色(または緑)の曲がった玉 |
| 主な能力 | 神霊を宿す媒体 王権の正当性を証明する 神の魂の象徴・安寧 |
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は日本神話に出てくるアマテラスや歴代天皇の神器です。
まい八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は、三種の神器(鏡・剣・玉)の中で唯一「形代(レプリカ)ではなく、神話の時代に作られた実物が現存し、天皇のお手元にある」とされる秘宝です
同時期に作られた八咫鏡(ヤタノカガミ)は伊勢神宮へ、スサノオによって献上された草薙の剣(天叢雲剣)は熱田神宮へと本体が移されました。
しかし八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)だけはずっと歴代天皇のそばを離れず、「同床共殿(同じ場所で暮らす)」を守り続けてきました。
ニュースなどで見かける「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」で箱に入って登場するのは、草薙の剣(形代)と、この八尺瓊勾玉(本物)です。
三種の神器の中で最も謎めいており、かつ最も実在感が強いこの秘宝について解説します。
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)誕生秘話


Origin of the Cave Door Dance (Amaterasu) by Shunsai Toshimasa 1889.(1889年)
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)が作られたのは、日本神話最大のピンチである「天岩戸(あまのいわと)隠れ」の時です。



三種の神器のうち2つ「八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)」「八咫鏡(ヤタノカガミ)」は、岩に籠ってしまったアマテラスを喜ばせるための装飾品として作成されました
製作者はタマノオヤ(玉祖命)という神様で、現在も眼鏡や時計、宝石業の守護神として信仰されています。
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は神器で唯一のオリジナル


三神器.(2007年)
三種の神器(鏡・剣・玉)の中でも、この八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)だけは、「形代(レプリカ)ではなく、神話の時代に作られた実物が現存し、天皇のお手元にある」とされています。
八咫鏡と草薙の剣は、その神威(パワー)があまりに強すぎるとして、崇神天皇の時代に本体が皇居の外へ移されました。
しかし、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)だけは「神の魂を鎮める優しい性質のもの」だったからか、あるいは「王権そのもの」だったからか、唯一手元に残され、現在まで継承されています。
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は現在「皇居(東京都・剣璽の間)」にある


Tokyo – Imperial Palace (48852460572).(2019年)
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は現在、東京都にある皇居の宮殿内、「剣璽の間(けんじのま)」という部屋に安置されています。
ここには草薙の剣(形代)も一緒に置かれており、天皇陛下の寝室のすぐ近くで守られていると言われています。
もちろん一般公開はされておらず、誰もその姿を見ることはできませんが、即位の礼などの重要儀式の際には、箱に入った状態で姿を現します。
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)の能力


八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は、敵を倒す武器や身を守る防具ではありません。
日本古来の信仰に基づいた、魂と国家を繋ぐ「霊的な要(かなめ)」としての能力を持っています。
- 神霊を宿す媒体
神の霊魂を宿すための器(コンテナ)としての役割
この勾玉を持っていること自体が、祖神アマテラスと霊的に繋がり続けている状態を意味する - 王権の正当性を証明する
「三種の神器」の中でも、実物が手元にある勾玉は皇位継承の絶対的な証とされてきた
現代においても、皇位継承の儀式でこの勾玉を受け継ぐことが、天皇として即位するための必須条件となっている - 神の魂の象徴・安寧
丸みを帯びた「勾玉」は「慈悲」や「魂の安寧(やすらぎ)」を象徴
「荒ぶる神気を鎮め、調和をもたらす能力」によって、天皇の心身を守り、国家の平和(安寧)を維持する役割



古代の日本語において、「玉(たま)」は「魂(たま)」と同じ意味を持ちます。
勾玉は単なるアクセサリーではなく、神の霊魂を宿すための器としての役割を持っているのです
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)の所有者はアマテラスと歴代天皇


Amaterasu cave wide.(1856年)
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)の所有者は、神話の最高神から現代の天皇陛下まで一本の線で繋がっています。
- アマテラス(天照大御神)
最初の所有者
天岩戸から出る際に装飾品として献上された - ニニギノミコト(瓊瓊杵尊)
アマテラスの孫
地上へ降りる際に、他の神器と共に授けられた - 歴代天皇
初代神武天皇から現代の天皇陛下に至るまで、片時も離れることなく「皇位の証」として受け継がれている



八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は、古代の神話世界から現代まで受け継がれる唯一の伝説のアイテムなのです
現在アマテラスは伊勢神宮に鎮座している


Naiku Ise Shrine 03.(2013年)
アマテラスは三種の神器のひとつである「八咫鏡(ヤタノカガミ)」を「アマテラス大御神の御神体」として最上級の敬意を持って伊勢神宮に祀られています。
もともとは八咫鏡(ヤタノカガミ)も皇居にありましたが、第10代崇神天皇の時代に「一緒に暮らすのは恐れ多い」として皇居の外へ移され、最終的に現在の伊勢神宮(内宮)に鎮座することになりました。
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)にまつわる神話


八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は、日本の歴史の転換点に必ず登場します。
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八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)誕生のきっかけ「天岩戸隠れ」


Origin of the Cave Door Dance (Amaterasu) by Shunsai Toshimasa 1889.(1889年)
神の世界を去る前にアマテラスの国へと訪れたスサノオですが、大暴れをしてついには天の服織女の一人が事故で命を落としてしまいました。
スサノオの乱暴に心を痛めた太陽神アマテラスは、天岩戸という洞窟に引きこもってしまいます。
太陽が隠れたことで世界は完全な闇に包まれ、災厄が蔓延しました。
困り果てた神々は会議を開き、「どうにかしてアマテラス様を外に連れ出そう」と策を練ります。
まず、イシコリドメは天の安河(あめのやすかわ)の川上にある岩や金属を使い、八咫鏡(ヤタノカガミ)を鋳造しました。
そしてタマノオヤ(玉祖命)がアマテラスの魂を招き寄せ、定着させるための「依代(よりしろ)」として八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)を作りました。
準備を終えた神々は岩戸の前でどんちゃん騒ぎをし、不思議に思ったアマテラスが「暗闇で大変なはずなのに、なぜ楽しそうなの?」と問いかけます。


Amaterasu appearing from the cave.(1882年)
すると神々は「あなた様より尊い神が現れたので、みんなで喜んでいるのです」と答えました。
アマテラスが「そんな神がいるなら見たい」と隙間から覗き込んだ瞬間、目の前に八咫鏡(ヤタノカガミ)が差し出されました。
鏡には「輝く自分自身の姿」が映っていましたが、アマテラスはそれが自分だとは気づかず「本当だ、すごい神がいる」と思って身を乗り出しました。
その隙にタヂカラオ(力持ちの神)が彼女を引っ張り出したので、世界は無事に明るさを取り戻したのでした。



この後、元凶となったスサノオは高天原を追い出され、降り立った地上で天羽々斬(アメノハバキリ)によってヤマタノオロチを倒しました
天孫降臨でニニギへ継承


Ninigi otokawa.(2018年)
アマテラスが孫のニニギノミコトを地上の支配者として降臨させる「天孫降臨」の際、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は草薙の剣(天叢雲剣)・八咫鏡(ヤタノカガミ)(三種の神器)と共に授けられました。



アマテラスは乱暴者のスサノオの子孫ではなく、自分の子孫こそ地上の支配者に相応しいと考えて「天孫降臨」に踏み切りました
これ以降、この3つの宝物を持っていることが、地上の正統な支配者(天皇)であることの条件となりました。
壇ノ浦の戦いで海へ


Dan-no-ura o-kassen do zu (BM 2008,3037.20513)(19世紀)
平安時代の終わり、源平合戦の最終決戦である「壇ノ浦の戦い」。
平家が敗北を悟った時、平家の血を引く幼い安徳天皇と共に、三種の神器も海へ投げ出されました。



投げ出された三種の神器は、草薙の剣以外は回収されました
- 草薙の剣(形代)
重いため、すぐに海へ沈んで行方不明に - 八咫鏡(形代)
箱に入っていましたが、源氏の兵士によって回収された - 八尺瓊勾玉(本物)
奇跡が起き、なんと勾玉が入った箱は海に沈まずプカプカと波間に浮き上がってきた
これを見つけた源氏軍が急いで回収したため、勾玉だけは神代から続くオリジナルが無事に帰還を果たした
「玉そのものが浮くはずがないので、密封された木箱に入っていたおかげだろう」と考えるのが現実的ですが、神話的には「神の加護により、皇統を守るために戻ってきた」とされています。
八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)が現代作品に与える影響


八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は、その名前の響きや「連なる弾丸」というイメージから、現代のバトル作品でも人気のモチーフです。
- 『ONE PIECE』
海軍大将・黄猿(ボルサリーノ)の技「八尺瓊勾玉」
光の弾丸を雨のように広範囲に降らせる技として描かれる - 『NARUTO -ナルト-』
うちはイタチの須佐能乎(スサノオ)が使う遠距離攻撃「八坂ノ勾玉」
巨大な勾玉を投げつける術として登場 - 『THE KING OF FIGHTERS(KOF)』
主要キャラクター・八神庵(やがみ いおり)の実家は「八尺瓊(やさかに)」の一族であり、勾玉の力を宿す炎を使う - 『BLAZBLUE』
イザナミのメイン武器として登場
冠状の形態から変形し、禍々しい力を持つ



八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は草薙の剣などに比べ、アイテムそのものとしての登場が少ないです
ただし技名やキャラクターの背景設定として、非常に重要な役割を果たしています








