
| 名称 | 潮満珠(しおみつたま)・潮干珠(しおふるたま) 満珠・干珠(まんじゅ・かんじゅ) |
|---|---|
| 神話体系 | 日本神話(記紀神話) |
| 所有者 | 海神(ワタツミ) → 山幸彦(ホオリ) → 神功皇后? |
| 製作者 | 不明(海神が秘蔵していたオーパーツ) |
| 形状 | 丸い球、もしくは円柱を数段重ねたような不思議な長細い形 |
| 主な能力 | 潮の満ち引きを操る 水攻め 島を生み出す |
潮満珠・潮干珠は日本神話に出てくる海神と山幸彦の武器です。
まい潮満珠・潮干珠(しおみつたま・しおふるたま)は、『古事記』『日本書紀』に登場する、水を自在に操る2つの宝玉です
潮満珠・潮干珠は竜宮城の主である海神(ワタツミ)が秘蔵していたオーパーツであり、その力は「溺れさせて殺す」ことも「水を引いて助ける」ことも自由自在。
日本神話において、個人の武力ではなく「魔法のアイテム」を使って勝利した代表的な例であり、後の神武天皇の即位(天皇家)にも繋がる重要な国宝級アイテムです。
以下で潮満珠・潮干珠について詳しく紹介します。
潮満珠・潮干珠誕生秘話


Hoori and Toyotama-hime.(1912年)
潮満珠・潮干珠の出所は、海底にある海神(ワタツミ)の宮殿、いわゆる「竜宮城」です。
ある日、天孫ニニギの息子である山幸彦(やまさちひこ/ホオリ)は、兄である海幸彦(うみさちひこ/ホデリ)から借りた大事な釣り針をなくしてしまいます。



山幸彦は自分の刀を溶かして1,000本の針を用意しましたが、海幸彦は許してくれませんでした
途方に暮れた山幸彦が海辺にいたところ、塩椎神(しおつちのかみ)の導きで海底の宮殿へ行くことになりました。
そこで海神ワタツミに歓迎され、娘のトヨタマヒメと結婚して3年間楽しく暮らします。
3年後、地上へ帰ることになった山幸彦に、海神ワタツミはなくした釣り針と一緒に潮満珠・潮干珠を授けました。
潮満珠・潮干珠のおかげで山幸彦と海幸彦の戦いで勝利した山幸彦。
これは単なる記念品ではなく、性格の悪い兄(海幸彦)に対抗するための「護身用の兵器」として渡されたのです。
潮満珠・潮干珠の能力


潮満珠・潮干珠は対になっており、交互に使うことで対象を生殺与奪の状況に追い込みます。
まさに「アメとムチ」による最強の水攻め兵器です。
- 潮満珠(しおみつたま):水を満たす
潮満珠を取り出して振ると、潮が満ちてあたり一面が水没する - 潮干珠(しおふるたま):水を引く
潮干珠を取り出して振ると、潮が引いて水がなくなる
潮満珠・潮干珠の形状は?


潮満珠・潮干珠は一般的には真珠のような「2つの丸い玉」として描かれることが多いですが、山幸彦伝説の地である鵜戸神宮(宮崎県)に伝わるご神宝は、ユニークな形をしています。
- 潮満珠
輝く丸い水晶のような形 - 潮干珠(潮涸珠)
円柱を数段重ねたような、不思議な長細い形
とくに潮干珠の複雑な形は、「潮が引いた後の岩肌」や「水が引く際の渦」を表現しているとも言われ、単なる宝石ではない呪具としてのリアリティを感じさせます。
【伝承】島を作った(満珠島・干珠島)


Kanju and Manju islands from Toyokoto shrine in Chofu.(2021年)
潮満珠・潮干珠には、単に潮を操るだけでなく、物理的な地形をも変えてしまうほどの霊力が秘められていたと伝えられています。
山口県下関市の沖合には、後世に神功皇后が使い終わった2つの玉を海に沈めたところ、それがそのまま島になって浮かび上がったとされる「満珠島(まんじゅしま)・干珠島(かんじゅしま)」が現存しています。
この2つの島は現在も神聖な場所として、長門国二宮・忌宮神社(いみのみやじんじゃ)の飛び地境内となっています。
【伝承】伝説は各地に残る(祇園祭など)
潮満珠・潮干珠の伝説は、神話の舞台だけでなく日本各地に残っています。
- 京都・祇園祭
山鉾巡行で有名な「船鉾(ふねぼこ)」のご神体として、海神である安曇磯良(あずみのいそら)が、盆に乗せた潮満珠・潮干珠を捧げ持っている - 御門神社(福岡県)
神功皇后が新羅から帰還後、満珠・干珠を海に返した伝説の地
現在も満珠・干珠は同神社の飛び地境内(国の天然記念物)として保護されている - 住吉大社(大阪府)
神功皇后が創建に関わり、住吉三神(底筒男命・中筒男命・表筒男命)を祀る神社
神功皇后が満珠・干珠を授かった伝説がある



ほかにも各地の神社で、海に面した地域の神社では「災いを防ぐ宝」として祀られたり、社宝として伝承されていたりと、その霊力は広く信仰されています
潮満珠・潮干珠の所有者は海神と山幸彦


Hikohohodemi otokowa.(2018年)
潮満珠・潮干珠の所有者は海の支配者と、そこから認められた地上の英雄です。
- 海神(ワタツミ)
元の所有者
海のすべてを支配する神であり、この玉を使って世界の海流や潮汐を管理していた - 山幸彦(ホオリ)
海神から潮満珠・潮干珠をもらった人で、初代・神武天皇の祖父
兄を屈服させた後、この玉をどうしたかは記述がありませんが、子孫である天皇家、あるいは海神の血を引く一族に継承されたと考えられる
神功皇后も使用した?


Jingū Kōgō.(1859年)
実は山幸彦の時代からずっと後の第14代仲哀天皇の后、神功皇后(じんぐうこうごう)の伝説にも潮満珠・潮干珠が登場します。
神功皇后が海を渡って戦い(三韓征伐)に向かう際、再び海神(あるいはその使いの阿曇磯良)からこの玉を借り受けたと伝えられています。



皇后は身籠っているにも関わらず、武内宿禰とはかり新羅に遠征し、新羅降伏後筑紫に帰って応神天皇を産んだと言われています
潮満珠・潮干珠にまつわる神話


潮満珠・潮干珠にまつわる神話をまとめました。
タップで飛べます
山幸彦と海幸彦の戦い


天孫ニニギの息子である山幸彦(やまさちひこ/ホオリ)は、兄である海幸彦(うみさちひこ/ホデリ)に何度も頼み込み、お互いの狩りの道具を交換します。
しかし、釣りの途中で山幸彦は海幸彦に借りた大事な釣り針をなくしてしまいました。



山幸彦は自分の刀を溶かして1,000本の針を用意しましたが、海幸彦は許してくれませんでした
山幸彦が海辺で途方に暮れていたところ塩椎神(しおつちのかみ)が現れ、釣り針を見つけるために海底の宮殿へ行くことになりました。
そこで山幸彦は海神ワタツミに歓迎され、娘のトヨタマヒメと結婚して3年間楽しく暮らします。
3年後、地上へ帰ることになった山幸彦に、海神ワタツミはなくした釣り針と一緒に潮満珠・潮干珠を授けました。
地上に戻った山幸彦は、ワタツミに教わった通りに釣り針を返しました(※「この針は役に立たない」と呪文をかけて返しました)。
すると兄の海幸彦はどんどん貧乏になり、逆恨みして軍勢を率いて山幸彦を殺しにやってきました。
絶体絶命のピンチに、山幸彦は海神の言葉を思い出して潮満珠・潮干珠を取り出します。
- 攻撃: 山幸彦が「潮満珠」を出すと、水が押し寄せ、海幸彦はアップアップと溺れ始めました。
- 降伏: 苦しむ海幸彦は「降参だ!お前の家来になるから助けてくれ!」と叫びました。
- 解除: 山幸彦が「潮干珠」を出すと、水がサーッと引いていきました。
こうして完全に心が折れた海幸彦は弟に忠誠を誓い、その子孫(隼人族)は代々天皇家の護衛を務めることになりました。
神功皇后の三韓征伐


EmpressJinguInKorea.(1880年)
神功皇后が朝鮮半島へ出兵した際にも、潮満珠・潮干珠が使われたと言われています。



神功皇后は、住吉大神や阿曇磯良(あずみいそら)から潮満珠・潮干珠を授かったそうです
敵の水軍が攻めてきたときに神功皇后が「潮干珠」を海に投げ入れると潮が急激に引き、敵の船は浅瀬に乗り上げて動けなくなりました。
敵兵が「今のうちに船を降りて攻め込め!」と歩いて向かってきた瞬間、今度は「潮満珠」を投げ入れました。
すると潮が一気に満ちて津波のようになり、敵軍は海に飲み込まれて全滅しました。
こうして神功皇后は戦わずして勝利を収めたと伝えられています。
潮満珠・潮干珠が現代作品に与える影響


潮満珠・潮干珠は「水を自在に操る宝玉」という分かりやすい能力から、多くのファンタジー作品に影響を与えています。
- 『大神(OKAMI)』
海を割って竜宮城へ行くエピソードや、水郷を操る筆しらべの能力などに神話の影響が見られる - 『Fate/Grand Order』
海域制圧、潮汐操作など宝具設計思想に色濃く反映されている - 『モンスターストライク(モンスト)』
海神・潮流操作キャラの能力として採用されている - 『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』
「海幸山幸」というキャラクターが登場
ドロップ変換スキルなどで水を操る能力が再現されている
潮満珠・潮干珠は、剣や槍といった武具ではなく、自然現象(潮の満ち引き)そのものを武器にするという、日本神話の中でも特異なスケールを持つ最強アイテムの一つとして現代作品にも影響を与えています。








