
| 名称 | 天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)・天之波波矢(あめのははや) |
|---|---|
| 神話体系 | 日本神話(記紀神話) |
| 所有者 | アメノワカヒコ(天若日子) |
| 製作者 | 不明(高天原由来の神の弓矢) |
| 形状 | 美しく大きな弓と鋭く尖った矢 |
| 主な能力 | 天空まで届く飛距離 魔除け 因果応報(返し矢) |
天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)・天之波波矢(あめのははや)は日本神話に出てくるアメノワカヒコ(天若日子)の武器です。
まい天之波波矢(あめのははや)は天孫降臨や神武東征にも登場する「天津神の証」の矢として有名です
天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)と天之波波矢(あめのははや)は、高天原の指令を受けて地上へ降りた神、アメノワカヒコ(天若日子)に授けられた神造の弓矢です。
本来は地上の悪しき神々を倒すための「正義の武器」でしたが、持ち主が任務を放棄して裏切った結果、「忠義を試す処刑道具」へと変貌しました。
放たれた矢が天まで届き、血に塗れて地上へ投げ返され、持ち主の胸を貫いたことから、呪術における「返し矢(人を呪わば穴二つ)」の起源となった最恐の弓矢について解説します。
天之麻迦古弓・天之波波矢の誕生秘話


天之麻迦古弓・天之波波矢は、地上(葦原中国)を平定するミッションのために、高天原の神々からアメノワカヒコへ授けられました。



制作者は不明ですが、地上の人間が作ったものではなく高天原由来の「神物」です
当時、地上の神々を従わせる任務は難航していました。
そこで期待の若手ホープであったアメノワカヒコに、この最強の弓矢を持たせて送り出したのです。
- 天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)
「魔を狩る」「鹿を狩る」などの意味を持つ、神聖な大弓 - 天之波波矢(あめのははや)
蛇(ハハ=古語で蛇)のような破壊力を持つ、あるいは羽(ハハ)のついた鋭い矢
天之麻迦古弓・天之波波矢の能力


天之麻迦古弓・天之波波矢の最大の特徴は、物理法則を無視した「飛距離と貫通力」です。
- 神をも殺す殺傷力
高天原の使者である聖なるキジ(ナキメ)を一撃で射殺す威力 - 天まで届く飛距離
地上から放たれた矢は、キジを貫通した後も勢いが止まらず、雲を突き抜け、はるか上空の高天原(天界)まで到達 - 意思を持った誘導性(返し矢)
タカミムスビ(高位の神)が「もし裏切りなら当たれ」と念じて投げ返すと、矢は正確に持ち主の元へ戻り、眠っているアメノワカヒコの心臓を貫いた



実は天之麻迦古弓・天之波波矢は単なる「呪いのアイテム」ではなく、「使う人によって効果が変わる武器」です
- アメノワカヒコの場合
邪心を持ち、裏切ったために「自分を殺す矢」となった
(詳しくは「使者を射殺した矢を返された「返し矢」」参照) - アメノオシヒの場合
忠義を持ち、主君を守ったために「魔を払う矢」となった
(詳しくは「天孫降臨の「魔除けの弓矢」」参照)
武器自体に罪はなく、使う者の心が試される神の武器らしい弓矢といえます。
天之麻迦古弓・天之波波矢の所有者はアメノワカヒコ


天之麻迦古弓・天之波波矢の所有者アメノワカヒコ(天若日子)は、日本神話きっての「悲劇の裏切り者」です。
アメノワカヒコは、地上のオオクニヌシたちを説得して国を譲らせることを目的に降臨しました。
しかし、地上に降りると、オオクニヌシの娘(シタテルヒメ)に一目惚れして結婚。
なんと居心地が良すぎて8年間も高天原に連絡を入れず、自分の国を作ろうとしたのです。
さらに様子を見に来た使者であるキジを天之波波矢で仕留めてしまったので、最後には打ち返された天之波波矢で命を落としました。
天之麻迦古弓・天之波波矢にまつわる神話


天之麻迦古弓・天之波波矢にまつわる神話をまとめました。
タップで飛べます
使者を射殺した矢を返された「返し矢」


アメノワカヒコが8年も帰ってこないため、心配したアマテラスたちは、様子を見に行かせるために「ナキメ(鳴女)」という名のキジを派遣しました。
キジは家の前の木に止まり、「なぜ戻らないのですか?」と鳴いて問いただしました。
それを聞いたアメノワカヒコの妻側の家来(アマノサグメ)が 「あの鳥の鳴き声は不吉です。射殺してしまいましょう」 とそそのかしました。
アメノワカヒコは魔が差し、授かった天之麻迦古弓と天之波波矢を使って、高天原からの使者であるキジを撃ち殺してしまいました。
矢はキジの体を貫き、そのまま高天原まで飛んでいき、司令官であるタカミムスビ(高御産巣日神)の足元に落ちました。
血がついた矢を見たタカミムスビは、それがアメノワカヒコに持たせた矢だと気づき、激怒します。
そして、矢を手に取ってこう宣言し、地上へ投げ返しました。
「もしワカヒコが正義の心で悪神を射たのなら、この矢は当たるな。 しかし、もし邪心を持って裏切ったのなら、この矢はワカヒコに当たれ!」
矢は流星のように地上へ落下し、寝室で寝ていたアメノワカヒコの胸をズドンと貫き、彼は一言も発することなく即死しました。
これが「返し矢(かえしや)」という言葉の語源とも言われています。
天孫降臨の「魔除けの弓矢」


アメノワカヒコが死んだ後、アマテラスの孫であるニニギノミコトが地上へ降りる「天孫降臨」が行われました。
この時、ニニギの護衛として先導したアメノオシヒ(天忍日命)という神様が、この弓矢を持っていました。
ニニギが地上へ降りてくる行列の先頭で、アメノオシヒは以下の装備で武装し、睨みを利かせていました。
アメノオシヒの装備
- 腰:頭槌剣(かぶつちのつるぎ)を佩く
- 手:天之麻迦古弓・天之波波矢を持つ
アメノオシヒは天之麻迦古弓・天之波波矢を構えることで、道中に潜む悪霊や怪しい神々を威嚇し、ニニギを無事に地上まで送り届けました。



実はアメノオシヒは、後の物部氏と並ぶ古代の軍事氏族であり、天皇の親衛隊(ボディーガード)を務めた一族「大伴氏(おおともし)」の祖先でした
つまり、天之麻迦古弓・天之波波矢は「天皇を守る最強のボディーガードの証」でもあるのです。
天之麻迦古弓・天之波波矢が現代作品に与える影響


天之麻迦古弓・天之波波矢は、「弓矢」「裏切り」「天罰」という要素から現代でも作品のモチーフにされています。
- クラッシュフィーバー
『紐矢編む慈弓 天之麻迦古弓』として登場 - ゆるドラシル
『天之麻迦古弓』の名でレアアイテムとして登場 - 戦国無双 真田丸
稲姫の大弓『天之麻迦古弓』として登場



弓道では、「正射必中(正しく射れば必ず当たる)」の逆説的な教訓として、天之麻迦古弓・天之波波矢の神話が語られることがあります








