
| 名称 | 七支刀(しちしとう) 七枝刀(ななつさやのたち) |
|---|---|
| 神話体系 | 日本神話 歴史(古墳時代) |
| 所有者 | 百済王 → ヤマト王権(神功皇后) → 石上神宮 |
| 製作者 | 百済の刀匠 |
| 形状 | 左右に3本ずつの枝刃を持つ直刀(全長74.9cm) |
| 主な能力 | 百兵を退ける 王権と盟友の証 |
七支刀は日本神話に出てくるヤマト王権(神功皇后)の王権の象徴的宝物です。
まい日本神話や歴史に登場する剣の中でも、神話に記された宝物として考古学的に実在が確認できる極めて稀な例が七支刀(しちしとう)です
七支刀(しちしとう)は日本の国宝であり、古代日本と大陸の交流を今に伝える伝説の鉄剣です。
『日本書紀』では「七枝刀(ななつさやのたち)」の名で登場し、神功皇后の時代に百済から献上された宝物として描かれています。
その名の通り、刀身から6本の枝刃が突き出した特異な形状をしており、実戦用の武器ではなく、祭祀や王権の象徴として用いられました。
ファンタジー作品に登場する奇形剣の原型の一つとも言える伝説の剣について詳しく解説します。
七支刀(しちしとう)誕生秘話


Seven-Branched Sword.(2020年)
七支刀は、神話の時代と歴史の境界にあたる「古墳時代(4世紀後半)」に作られたとされています。
刀身の両面に金象嵌(きんぞうがん:金を埋め込んで文字を書く技法)で刻まれた60文字以上の銘文によると、泰和4年(369年頃とされる)に、朝鮮半島にあった国・百済(くだら)で造られました。



ただし銘文の年号は諸説あり、4世紀後半(369年頃とする説が有力)と考えられています
当時の百済王が、同盟国であった日本のヤマト王権(当時の倭国)の王のために、「これまでになかった特別な武器」として最高級の技術で鋳造させ、海を越えて贈ったものです。
七支刀は単なるプレゼントではなく、当時緊張状態にあった東アジア情勢の中で、百済と日本が固い絆(軍事的・外交的な同盟関係)で結ばれていることを示す、極めて政治的かつ呪術的な意味を持つアイテムでした。
七支刀(しちしとう)の能力


七支刀は、その特異な形状から実戦用の斬撃武器として用いることは困難であり、主に儀礼・象徴的用途の剣であったと考えられています。
そして、刀身に刻まれた銘文にははっきりと「辟百兵(百兵を退ける)」の能力が記述されています。
銘文には「造百練鋼七支刀 辟百兵 宜供侯王(何度も鍛え上げた鉄でこの七支刀を作った。この剣は、百の兵(あらゆる敵軍)を撃退する力がある。 王が持つにふさわしい)」と記されています。



つまり七支刀は、現代的に言えば「魔除け」や「勝利をもたらす象徴的な力」を付与する宝物と解釈することもできます
敵を物理的に倒すのではなく、「襲い来る災厄や敵軍を寄せ付けない」「戦わずして勝つ」という、まさに王者のための守護能力と言えるでしょう。
また、枝分かれした形状は稲妻や神木(榊)を模しているとも言われ、邪気を払う霊的な避雷針としての役割もあったと考えられます。
七支刀(しちしとう)の所有者はヤマト王権(神功皇后)


Jingū Kōgō.(1859年)
七支刀は、海を渡って所有者が変わった「外交の証」です。
七支刀の所有者
- 百済の王
発注者であり、倭国との同盟を求めてこの剣を作らせた - 神功皇后(じんぐうこうごう)
『日本書紀』において、この剣を受け取ったとされる伝説的な女傑 - 石上神宮(いそのかみじんぐう)
現在の所有者(保管場所)
ヤマト王権の武器庫としての役割を持っており、1500年以上もの間、御神体としてではなく「神庫の宝物」としてひっそりと守られ続けてきた
七支刀(しちしとう)にまつわる神話


Seven-Branched Sword.(1930年)
七支刀には、『日本書紀』に記された献上の物語と、近代になってその正体が明かされた再発見のドラマがあります。
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百済の使者からヤマト王権の倭王へと送られた


EmpressJinguInKorea.(1880年)
『日本書紀』の神功皇后摂政52年の条に、七支刀が登場します。
百済の使者である「久砥(くてい)」らが来日し、「七枝刀(ななつさやのたち)」一口と、「七子鏡(ななつこのかがみ)」一面、その他種々の宝物を献上しました。
この時、使者は以下のような口上を述べたと記録されています。
「臣(私ども百済)の国の西に河があり、その水源は谷那鉄山(こくなのてつざん)から出ています。 遠く、七日行っても到着できませんが、この水を飲み、この山の鉄を採って、永遠に聖朝(日本の朝廷)に奉ります」
この記述から、七支刀は「谷那鉄山」という特別な場所から産出した鉄で作られた貴重な品であり、百済から日本への永遠の忠誠あるいは友好の証として贈られたことが分かります。
石上神宮での再発見


Isonokami-jingu, haiden-1.
平安時代以降、七支刀の存在は徐々に忘れ去られてしまいます。



石上神宮でも長らく「六又の鉾(ろくまたのほこ)」などと呼ばれ、神剣というよりは不思議な古道具として扱われていた時期があったようです
しかし明治時代初期(1874年頃)、当時の石上神宮大宮司であった菅政友(かんまさとも)氏が、神庫を整理中に錆びついた刀身に金色の文字(銘文)が隠されていることを発見。
「これはただの武器ではない」と錆を落として解読したところ、そこに記されていた内容が『日本書紀』の記述(神功皇后への献上品)や古代の年号と一致することが判明したのです。
この発見によって、七支刀は「神話(日本書紀)の記述が、考古学的な遺物によって裏付けられた」という奇跡的な例となり、一躍国宝級の注目を浴びることになりました。
まさに、1500年の眠りから覚めた伝説の剣と言えます。
七支刀(しちしとう)が現代作品に与える影響


七支刀は、その唯一無二のビジュアルインパクトから和風ファンタジーや歴史モノのゲームにおいて「最強クラスの武器」や「神の剣」として登場します。
- 『モンスターハンター』シリーズ
オトモアイルー(ネコ)の太刀武器として「剣豪ネコ七支刀」が登場
また、幻獣キリンの素材で作る大剣「召雷剣【麒麟】」などのデザインモチーフにもなっている - 『SaGa2 秘宝伝説(サガ2)』
最終ダンジョンのレア敵「はにわ」から超低確率でドロップする最強武器として「七支刀(しちしとう)」が登場 - 『逆転裁判』シリーズ
「シチシトウ」として登場
マスコットキャラクター(トノサマン)の武器や、事件の証拠品として扱われる - 『FINAL FANTASY XIV』
武器として「源氏之七支刀」というデザインで実装 - 『BLEACH』『風魔の小次郎』など多数
七支刀を直接モデルにした、あるいは影響を受けたと考えられる武器表現が登場
形状が稲妻に見えることから、雷属性や多段攻撃の能力を持つ武器として描かれることが多い



七支刀は本来「守りの剣」ですが、現代の創作ではその攻撃的な見た目から、強力な「攻めの剣」としてアレンジされ、多くのファンに愛されています








