
| 名称 | ヴァサヴィ・シャクティ アモーガ・シャクティ(不敗の槍) |
|---|---|
| 神話体系 | インド神話(マハーバーラタ) |
| 所有者 | 英雄カルナ |
| 製作者 | 雷神インドラ(自身の神威) |
| 形状 | 黄金の装飾と鈴がついた、燃え盛る投げ矢(短槍) |
| 主な能力 | 神ですら殺せる一撃必殺(ただし一回使い切り) ※神話上、神を殺した例はないが、理論上は神すら倒しうる力とされる |
ヴァサヴィ・シャクティはインド神話に出てくる英雄カルナが持つ最強の武器です。
まいヴァサヴィ・シャクティは「ヴァサヴァ(インドラ神の別名)のシャクティ(力、槍)」を意味します
ヴァサヴィ・シャクティは雷神インドラが持つ雷の力を具現化したもので、狙った相手を確実に倒す「一撃必殺(ワン・ヒット・キル)」の能力を持ちます。
しかし、あまりに強力すぎるため「一度使うとインドラの手元に帰ってしまう(一回使い切り)」という致命的な制約があり、カルナはこの武器を最大のライバルであるアルジュナを倒すためだけに温存し続けました。
カルナを悲劇の英雄たらしめた最強の武器について詳しく解説していきます。
ヴァサヴィ・シャクティ誕生秘話


Tiruchchirappalli painting Indra (cropped).(1820-1825年)
ヴァサヴィ・シャクティは、カルナの「黄金の鎧(カヴァチャ)」と引き換えに手に入れたものです。
カルナは太陽神スーリヤの息子として生まれ、生まれつき「皮膚と一体化した黄金の鎧」を身に着けていました。
カヴァチャがある限りカルナは実質的に不死身同然であり、誰にも傷つけることができませんでした。
しかしカルナと敵対するアルジュナの父である雷神インドラは、これに危機を感じて息子の勝利のために一計を案じます。
ある日、インドラはバラモン(僧侶)に化けてカルナに近づき、「その鎧と耳輪を私に恵んでくれないか」と物乞いをしました。
「施し(ダーナ)の英雄」として知られるカルナは、それが自分を弱体化させる罠だと知りながら、自らの肉体ごと刃物で切り裂いて鎧を剥がし、インドラに施しました。
この血まみれの自己犠牲と高潔さに心を打たれたインドラは、代償として自身(ヴァサヴィ)の最強武器「シャクティ(雷の槍)」を授けました。



ただしヴァサヴィ・シャクティ「一人の敵しか殺せない。一度使えば私の元に戻ってくる」という条件付きでした
ヴァサヴィ・シャクティの能力


ヴァサヴィ・シャクティはシンプルですが、最強の能力と制約を持っています。
- 絶対必殺(アモーガ)
- 一回性の制約
ヴァサヴィ・シャクティは「アモーガ(決して外れない/無駄にならない)」と呼ばれ、放たれれば神であろうと悪魔であろうと、あらゆる加護や不死性を無意味化して対象を確実に排除します。
ただし使用回数は「1回」のみで、使用後は自動的に天界へ帰還します。



そのため、RPGのラストエリクサーのように「いつ、誰に使うか」が戦局を左右する究極の切り札なのです
インド神話の英雄カルナの一撃必殺の力は格付けするとは何位にランクインするのでしょうか?
気になる順位はインド神話の最強武器ランキングの記事で発表していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
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ヴァサヴィ・シャクティの形状
ヴァサヴィ・シャクティは、一見実態がない雷(ギリシャ神話の雷霆ケラウノスなど)のような印象を受けますが、マハーバーラタの記述では「手に持って投げる実体のある武器」として描写されています。
神話中でのヴァサヴィ・シャクティの描写
- インドラから手渡された
- カルナが大切に保管していた(白檀の粉をまぶして崇拝していた)
- 流星のような輝き
- 激しい炎に包まれている
つまり神話の原典においては「雷のエネルギーを纏った、物理的な投擲武器(槍や投げ矢)」と考えるのが最も正確です。
ヴァサヴィ・シャクティの所有者はカルナ


Karna-kl.jpg
ヴァサヴィ・シャクティの所有者は、太陽神スーリヤの息子でインド神話の悲劇の英雄カルナです。
カルナの武器・防具
- ヴァサヴィ・シャクティ(槍)
- ヴィジャヤ(弓)
- ブラフマーストラ(矢など)
- カヴァチャ&クンダラ(防具)
カルナは『マハーバーラタ』において、主人公アルジュナの最大のライバルであり、同時に「生き別れの兄」という複雑な立ち位置を持つ最重要キャラクターの一人です。



カルナは義理堅く、施しを拒まない高潔な武人ですが、恩義ゆえに悪役(カウラヴァ軍)側に加担し続けた悲劇の将とされています
カルナの複雑な出自とアルジュナとの宿縁


Karna and Arjuna.(1899年)
カルナはパーンダヴァ5兄弟(アルジュナたち)の母であるクンティーが、結婚前に「神を呼び出すマントラ」を試しに唱えてしまい、太陽神スーリヤとの間に産んだ子供です。
しかし未婚の母となることを恐れたクンティーによって、カルナは生まれてすぐに川へ流されてしまいました。
その後、御者(身分が低いとされる職業)の夫婦に拾われて育てられたため、本来は王族でありながら「御者の息子」として蔑まれながら育ちました。
ある武芸大会において、カルナはアルジュナに匹敵する弓の腕前を見せつけますが「御者の息子に王族と戦う資格はない」と侮辱され、挑戦を拒否されます。
このとき唯一カルナを認め、その場で「アンガ国の王」に取り立てたのが、反パーンダヴァ陣営の中心人物ドゥルヨーダナ(カウラヴァ家の長男)でした。


Duryudana, wayang kulit puppet, Java, collected in 1894, wood, rawhide, metal, pigment – Pacific collection – Peabody Museum, Harvard University – DSC06109.
以来、カルナは「俺の命も力も、全て友(ドゥルヨーダナ)のために捧げる」と誓い、生涯にわたってアルジュナたち正義の味方側と敵対することになります。



身分が低いことを偽ったため、カルナは師匠の呪いでブラフマーストラ発動の瞬間に呪文を忘れてしまい、アルジュナとの戦いで敗北してしまいました
ヴァサヴィ・シャクティにまつわる神話


Karna Try To Kill Ghatotkacha.jpg by william jon / CC BY 2.0
ヴァサヴィ・シャクティの有名な神話は「クルクシェートラ戦争」での悲劇です。
インドラの策略によってカヴァチャ&クンダラを失い不死身ではなくなったカルナにとって、ヴァサヴィ・シャクティはアルジュナに勝つための唯一の希望でした。
なのでカルナは大戦争(クルクシェートラ戦争)の間、どんなに追い詰められても「これはアルジュナに使うものだ」と言って、決して使いませんでした。
しかし戦争が激化する夜、アルジュナ側は「夜になると強くなる」羅刹(ラークシャサ)の血を引く猛将ガトートカチャ(ビーマの息子)を投入。
夜のガトートカチャは無敵の強さを誇り、空を飛び、魔法を使ってカルナの軍を壊滅状態に追い込みました。
味方の兵士たちはパニックになり、カルナに「カルナよ、あの怪物を殺してくれ! 今すぐあの槍を使ってくれ!」と懇願します。
カルナは葛藤しますが、仲間を守るために決断し、ついに虎の子のヴァサヴィ・シャクティをガトートカチャに向けて投擲しました。
槍は夜空を切り裂いてガトートカチャの胸を貫き、魔人を絶命させると、光となってインドラの元へ飛び去っていきました。
軍師クリシュナは「これでアルジュナは助かった! カルナはもう殺す槍を持っていない!」と歓喜してダンス。
アルジュナのために温存していた切り札を、別の敵に使わされた──これがカルナの敗北を決定づけた瞬間でした。



カルナは義理堅く、施しを拒まない高潔な武人であったがゆえに悲劇の英雄となってしまったのです
ヴァサヴィ・シャクティが現代作品に与える影響


ヴァサヴィ・シャクティは、日本においては『Fate』シリーズのカルナ由来で有名です。



『Fate』シリーズでは、英霊カルナの宝具「日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)」として登場します
普段は巨大な黄金の槍として描かれますが、真名解放時には自らの鎧をパージ(剥離)して槍に変えるという、神話の「交換条件」を見事に再現した演出がなされています。
「神殺しの槍」という異名で呼ばれ、圧倒的な火力を持つ対神宝具です。
ほかの作品では現代語でそのまま「ヴァサヴィ・シャクティ」と記載される例はまだ限定的ですが、神話モチーフの必殺槍としてインスピレーション源にはなっています。
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