
| 名称 | グレイプニル |
|---|---|
| 神話体系 | 北欧神話 |
| 所有者 | アース神族の神々 |
| 製作者 | ドワーフ |
| 形状 | 細い紐 |
| 主な能力 | 物理的な力では決して破壊できない |
グレイプニルは北欧神話に出てくるアース神族のアイテムです。
まい邪神ロキの子供フェンリルがやがて神々に災いをもたらす、という予言を受けて、フェンリルを拘束するために作成された魔法の紐がグレイプニルです
以下でグレイプニルについて詳しく解説していきます。
グレイプニル誕生秘話


グレイプニルは北欧神話に登場するアイテムです。
製作者はドワーフと言われています。
日に日に大きくなっていくロキの子供フェンリルがやがて神々に災いをもたらす、という予言を受けたアース神族の神々。
フェンリルを拘束することを決め、力試しと偽っていくつかの鉄鎖で縛ろうとします。
- レージング:非常に頑丈な鉄鎖
- ドローミ:レージングの倍の強度を持つ鉄鎖



しかしフェンリルはかんたんに引きちぎってしまいました
鉄や金属ではフェンリルを縛れないと悟ったアース神族の神々は、北欧神話で最高の工匠であるドワーフに「魔法的な拘束具」を依頼します。
ドワーフたちは存在するはずのないものを使って物理的な力では決して破壊できない紐を作り上げました。
グレイプニルの材料
- 猫の足音
- 女の髭(ひげ)
- 山の根っこ
- 熊の腱(けん) ※熊の「神経」や「感覚」とする説も
- 魚の息
- 鳥の唾液(つばき)
しかし、その見た目は細く滑らかな「絹のリボン」のようであり、まったく危険なものには見えなかったと言われています。
グレイプニルの能力


グレイプニルは物理的な力では決して破壊できないと言われています。
理由は「存在するはずのないもの」から作られたことで、魔法の力が込められているからです。
実際にテュールの腕と引き換えにフェンリルを拘束した後から、ラグナロク到来でグレイプニルの魔力が失われた時までフェンリルを拘束し続けることができました。



ドワーフの作るものにはドラウプニルのように魔法の力が込められていますが、有名なルーン魔法とは別物です
グレイプニルの所有者は特になし


The binding of Fenris(1909年)
グレイプニルには所有者はいません。
いずれ災いをもたらすと予言されたフェンリルを拘束するために、アース神族がドワーフに依頼して製作されました。
北欧神話内ではグレイプニルの役割はフェンリルの拘束のみで、他に使われたという記載はありません。
グレイプニルはフェンリル専用の拘束具として製作された北欧神話のアイテムです。



しばらくはフェンリルを拘束していましたが、ラグナロク到来でグレイプニルの魔力が失われたので、以降の登場はありませんでした
グレイプニルにまつわる神話


Fenrir bound manuscript image.
グレイプニルにまつわる神話をまとめました。
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テュールの腕と引き換えにフェンリルを拘束した


The binding of Fenrir(1908年)
ロキの子供フェンリルがやがて神々に災いをもたらす、という予言を受けたアース神族の神々。
日に日に大きくなっていくフェンリルを拘束することを決め、力試しと偽っていくつかの鉄鎖で縛ろうとします。
- レージング:非常に頑丈な鉄鎖
- ドローミ:レージングの倍の強度を持つ鉄鎖



しかしフェンリルはかんたんに引きちぎってしまいました
鉄や金属ではフェンリルを縛れないと悟ったアース神族の神々は、ドワーフに「魔法的な拘束具」を依頼。
ドワーフたちは存在するはずのないものを使って物理的な力では決して破壊できない紐を作り上げました。
神々は三度目の力試しと偽ってフェンリルにグレイプニルを使おうとしますが、フェンリルは嘘を見抜きます。
「誰かが私の口に腕を入れて「誠意の証」を立てるなら、その紐に縛られてもいい」と言います。
誰もが顔を見合わせる中、軍神テュールが名乗りを上げました。



軍神テュールはもともとフェンリルに餌をやっていたこともあるほど勇敢な神様でした


Tyr feeds Fenrir.(1891年)
テュールはフェンリルを安心させるために口の中に腕を差し込んだので、フェンリルはグレイプニルに縛られることを許可しました。
無事にグレイプニルで縛り終わり、フェンリルが力試しで暴れ出しますが、グレイプニルは切れないばかりか逆に暴れるほど固く体に食い込んでいきます。
騙されたと気がついたフェンリルは、テュールの約束(力比べ)が嘘であったことへの報復として右腕を噛みちぎりました。
こうして神々はテュールの右腕と引き換えに、フェンリルを拘束することができたのです。
ラグナロク到来でグレイプニルの魔力が失われた


Fenrir and Odin(1895年)
アース神族の策略によってグレイプニルで拘束されたフェンリルは、ゲルギャという留め具で巨大な岩ギョッルに固定されて地中深くに封じられました。
しかし光の神バルドルが邪神ロキの悪意によって葬られ、世界にフィンブルの冬(3年も続いた長く厳しい冬)が訪れて争いが絶えなくなります。
そして太陽と月がそれぞれ狼(スコルとハティ)に飲み込まれ、世界は闇に包まれました。


Far away and long ago(1920年)
この世界的な混乱と変動によって大地は激しく振動し、あらゆる枷と戒めが解き放たれました。
グレイプニルも例外ではなく、魔力を失ってついにフェンリルは解放されます。
そしてフェンリルは邪神ロキや巨人と共にアースガルズに攻め入り、ギャラルホルンが響き渡ってラグナロクが始まったのです。


Odin und Fenriswolf Freyr und Surt.(1905年)



フェンリルはグングニルの攻撃を受けながらも、武器ごとオーディンを飲み込みますが、すぐにオーディンの子ヴィーザルによって倒されました
グレイプニルが現代作品に与える影響


グレイプニルは「フェンリル専用の魔法の拘束具」「存在しないものから作成」という特殊な背景から、現代作品にもインスピレーションを与えています。
グレイプニルが現代作品に与える影響
「最強の封印(拘束具)」の象徴


グレイプニルの最大の特徴は「物理的な力では決して破れない、最強の拘束具」であることです。
ファンタジー作品においては、太古の魔王や悪竜などを封印する「魔法の鎖」「神の枷」などのアイテムの原型になっています。
またRPGのゲームでは、敵を拘束する魔法やスキルとして「グレイプニル」の名前が使われることもあります。



効果には「麻痺」だけでなく、「逃れることはできない」というニュアンスも含む場合が多いです
「逆説的な素材」というアイディア


グレイプニルが現代作品に与えた最大の影響は、「存在しないものを材料にした」というアイディアかもしれません。
グレイプニルは「猫の足音」「魚の息」など存在しないアイテムを使って製作されました。
これは「強力な魔法アイテムは貴重な物質的材料だけでなく、概念的なものや逆説的なものからも作れる」というアイディアの源流となりました。
現代のゲームなどで伝説の武器の材料として、「勇者の涙」「月光のかけら」「沈黙の音」などの詩的なアイテムが要求されるクエストは、グレイプニルの発想に強く影響を受けていると言えます。
「封印のための自己犠牲」の物語


The binding of Fenrir(1908年)
グレイプニルを使用するときに、神々は軍神テュールの右腕という大きな「代償」を払いました。
これは「強力すぎる力の封印には、相応の犠牲が必要である」という、とてもドラマティックな物語の原型です。
物語のクライマックスで、世界を救うために仲間の一人が犠牲となって敵を封印する、といったストーリー展開はこの「テュールの自己犠牲」を源流の一つとしています。
「いつか破られる封印」という物語の装置


グレイプニルはとても強力な拘束具でしたが、ラグナロク到来とともに破壊されるという運命も定められていました。
「現在は強力な封印がされているが、いつか必ず復活する脅威」という設定は、多くの漫画やゲームのオープニングで使われています。
主人公や敵が「破られる運命にある封印」を解いてしまうところから物語が始まる、という定番の導入にもグレイプニルの神話は影響を与えているのです。



グレイプニルは物語の装置や設定のアイディアとして、多くの現代作品に影響を与えているんですね








