
| 名称 | ダーインスレイヴ |
|---|---|
| 神話体系 | 北欧神話 |
| 所有者 | ホグニ(へグニ) |
| 製作者 | ドワーフ(ダーイン) |
| 形状 | 剣 |
| 主な能力 | 一度鞘から抜くと必ず血を吸う 決して狙いを外さない 剣で負った傷は癒えない |
ダーインスレイヴは北欧神話に出てくるデンマーク王ホグニの武器です。
まいダーインスレイヴはティルフィングと同じく、一度抜いてしまうと誰かを斬るまで鞘に戻せないという呪いの剣です
王ホグニが所有したダーインスレイヴの名前は「ダーイン(ドワーフの名)の遺産」を意味します。
この剣もまた、「一度抜いたら血を吸うまで収まらない」という恐ろしい呪いを持っており、北欧神話における最も悲劇的で終わりのない戦い「ヒャズニングの戦い」の引き金となりました。
以下で詳しくダーインスレイヴについて解説していきます。
ダーインスレイヴ誕生秘話


PL Maria Konopnicka – O krasnoludkach i o sierotce Marysi 096.(1909年)
ダーインスレイヴは北欧神話に登場する武器です。
製作者はドワーフのダーインと言われています。



ダーインスレイヴとは「ダーインの遺産」という意味で、ダーインは神話に登場する高名なドワーフの名前なのです
北欧神話の有名な魔剣ティルフィングは、ドワーフを脅して製作させたことでドワーフの呪いがかかった剣になりました。
しかしダーインスレイヴはホグニ王の一族に伝わる「家宝・遺産」であったと推測されます。
どんな経緯でいつ頃ダーインスレイヴが制作されたのかは不明ですが、ダーインスレイヴにもティルフィングと似た呪いの力が込められていました。
ダーインスレイヴの能力


ダーインスレイヴにはティルフィングと似た呪いの力がありますが、さらに恐ろしい呪いの特性もありました。
- 血の渇望:一度鞘から抜かれれば、生き血を吸うまで戻らない
- 必中:剣を振れば、決して狙いを外さない(失敗しない)
- 不治の傷:剣によってつけられた傷は決して癒えることがない
「不治の傷」の呪いは、ダーインスレイヴが単なる死をもたらす剣ではなく、「永遠の苦痛」をもたらす呪いの武器として際立たせています。
ダーインスレイヴの呪いはラグナロクまで続いたそうです。



ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが持つヒュドラの毒矢も、大きな苦痛を与える武器という点で共通しています
ダーインスレイヴの所有者はホグニ


ダーインスレイヴの所有者はデンマークのホグニ王です。
ホグニ王の一族に継承されてきたダーインスレイヴですが、永遠に続くヒャズニングの戦いを引き起こしたことでラグナロクのときまでホグニ王が持ち続けることになりました。
ホグニ王にはヒルドルという娘がおり、戦士を甦らせる魔術を使えたそうで、実はワルキューレだったとも言われています。
ワルキューレとは
ワルキューレ(ヴァルキュリア)は戦場で果敢に戦って戦死した勇者をオーディンの館ヴァルハラ宮殿に運ぶ女性たちです。


Rhinegold and the Valkyries(1910年)
来たる終末の戦いラグナロクに備え、オーディンの命令で勇者の魂を集めていました。
ダーインスレイヴにまつわる神話


ダーインスレイヴにまつわる神話をまとめました。
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永遠に続くヒャズニングの戦いを引き起こした


Hild and Hjadningavig on Hammars (I).JPG by Berig, CC BY-SA 3.0
ダーインスレイヴの持ち主であったホグニ王が遠征中に、娘ヒルドルがヘジン王子に誘拐されてしまいます。
帰還したホグニ王は激怒し、大軍を率いてヘジン王子を追跡。
ついにヘジン王子に追いついたとき、娘のヒルドルが父ホグニ王のもとを訪れて和平交渉をします。
ヘジン王子も「莫大な黄金を積んで和平を申し出たい」と言いますが、ホグニ王は「遅すぎた」と答えました。
そう、ホグニ王はすでにダーインスレイヴを鞘から抜いてしまっていたのです。
呪い「血の渇望:一度鞘から抜かれれば、生き血を吸うまで戻らない」が発動し、両軍は凄まじい戦いを繰り広げます。
あまりに過酷な戦いだったので、ホグニ王もヘジン王子も、ほどんどの戦士たちが死んでしまいました。
しかし夜になると、魔術が使える娘ヒルドルがその日の戦死者全員を蘇らせたのです。
なので翌日も蘇った戦士たちは再び戦い、また夜にはヒルドルによって復活。
ダーインスレイヴの呪いによって始まったこの「ヒャズニングの戦い」は、ラグナロクが来るまで永遠に繰り返されることとなりました。
女神フレイヤによって争いが起こったという説も


Freyja.(1888年)
「スノッリのエッダ」では、ヒルドルによって永遠に続くヒャズニングの戦いを引き起こされたとされています。
しかし、比較的新しいサガ(伝承)の「ソルリの話」には女神フレイヤが原因となったという別の神話があります。



「ソルリの話」は「スノッリのエッダ」よりも150年以上後に成立したと言われ、「スノッリのエッダ」の方が神話の原典に近いと言われています
発端は女神フレイヤが、ドワーフが作った見事な首飾り「ブリーシンガメン」を欲しがった代償として4人のドワーフと一夜ずつ共にしたことです。


女神フレイヤは主神オーディンの愛人でもあったため、これを知ったオーディンは怒ってブリーシンガメンを取り上げてしまいました。
フレイヤはブリーシンガメンを返してほしいと懇願。
オーディンはブリーシンガメンを返す条件として、「二人の強い王に呪いをかけ、ラグナロクまで永遠に戦わせるように」と言いました。
そこでフレイヤが目をつけたのがダーインスレイヴを持つホグニ王でした。
フレイヤは魔術でヘジン王子をそそのかしてヒルドルを誘拐させ、ホグニ王とヘジン王子が永遠に「ヒャズニングの戦い」をするように仕向けたのです。
ダーインスレイヴが現代作品に与える影響


ダーインスレイヴは「呪われた剣(カーストウェポン)」の原型の一つとして、現代作品に強い影響を与えています。
ダーインスレイヴが現代作品に与える影響
- 「癒えない傷を付ける魔剣」の設定
- 「永遠に終わらない戦い」のモチーフ
「癒えない傷を付ける魔剣」の設定


ダーインスレイヴの「傷は癒えることがない」という能力は、現代作品のRPGにおける「スリップダメージ(継続ダメージ)を受け続ける」という特殊効果の元ネタとなっています。
また「回復魔法が効かない傷」なども漫画の設定などでありますが、ダーインスレイヴが源流のひとつと考えられます。



まさに呪われた剣と呼ぶに相応しい能力なので、多くの作品にインスピレーションを与えています
「永遠に終わらない戦い」のモチーフ


ダーインスレイヴが引き起こした「ヒャズニングの戦い」は、「運命によって永遠に戦い続ける宿敵」という物語のシチュエーションの原型となっています。
ファンタジー作品の悲劇的な演出として多用され、因縁として理解しやすく、読者も引き込まれやすい展開として愛されている設定の一つです。








