
| 名称 | チャンドラハース |
|---|---|
| 神話体系 | インド神話(ラーマーヤナ) |
| 所有者 | 魔王ラーヴァナ |
| 製作者 | 破壊神シヴァ |
| 形状 | 神剣(曲刀) |
| 主な能力 | 破壊神シヴァの加護による極めて高い耐久性 一振りで敵軍をなぎ払うとされる圧倒的破壊力 |
チャンドラハースはインド神話に出てくる羅刹(ラークシャサ)の王ラーヴァナの武器です。
まい名前の「チャンドラ(月)」+「ハース(笑い)」は、剣の形状が三日月のように美しく反っていること、あるいは刀身の輝きが「月のように冷たく笑う剣」とイメージされたことに由来するとも解釈されます
チャンドラハースは破壊神シヴァから直接授けられたものであり、神の加護を受けた極めて高い強度を誇るとされています。
しかし、その入手経緯は「シヴァ神の住む山を引っこ抜こうとして返り討ちに遭う」という、魔王ラーヴァナの傲慢さと、それ以上の信仰心が入り混じった強烈なエピソードに基づいています。
魔王が力ずくではなく「歌(賛歌)」で手に入れた、世にも美しい神剣について解説します。
チャンドラハース誕生秘話


Bearded Shiva.(1940年)
チャンドラハースは鍛冶屋で作られたものではなく、ラーヴァナの「シヴァへの賛歌(歌)」に対する対価としてシヴァ神から与えらた剣です。
世界征服を進めていた魔王ラーヴァナは、ある日、クベーラから奪った空中戦車(プシュパカ・ヴィマナ)でヒマラヤ上空を飛んでいました。
しかし、シヴァ神の住処であるカイラス山に近づくと戦車が動かなくなります。
門番をしていた聖牛ナンディンに「ここはシヴァ様の聖域だから通れない」と止められますが、ラーヴァナはナンディンの猿のような顔を見て大笑いし、侮辱しました。



ラーヴァナは怒ったナンディンから「お前の国は猿によって滅びるだろう」という呪いをかけられます
激怒したラーヴァナは「こんな山があるから邪魔なんだ!」と、なんとカイラス山そのものを根こそぎ持ち上げ始めました。


Ponnar Maenian Kailash.(2013年)
山が揺れてシヴァの妻パールヴァティーが怯えたため、シヴァは「足の親指」で山を軽く踏みつけました。
たったそれだけで山はズドンと沈み、ラーヴァナの両腕は山の下に挟まれて潰されてしまいます。
腕を潰されたラーヴァナは、あまりの激痛に「三界(天・地・空)が震えるほどの悲鳴」を上げました。
しかし、ここからが魔王の凄いところで、ラーヴァナは痛みに耐えながら、なんとシヴァ神を讃える歌(シヴァ・タンダヴァ・ストートラム)を即興で歌い始めたのです。
長い年月(千年とする説もある)泣き叫びながら歌い続けたその執念と、歌のあまりの美しさに、シヴァ神は感銘を受けました。
シヴァはラーヴァナを許して山から解放し、「お前の叫び(Rava)は凄まじかった」として彼に「ラーヴァナ(叫ぶ者)」と呼ばれる理由になったとも語られています。
そして、褒美として最強の剣チャンドラハースを授けたのです。
チャンドラハースの能力


チャンドラハースは、破壊神シヴァの力が宿るとされる物理的に最強クラスの神剣です。
チャンドラハースは「破壊神シヴァの加護による極めて高い耐久性」「一振りで敵軍をなぎ払うとされる圧倒的破壊力」とされる、物理的に最強クラスの剣です。
ただし、シヴァは「もしお前がこの剣を不当な理由で振るったり、私(シヴァ)への敬意を忘れたりすれば、剣は即座に私の元へ帰るだろう」と告げ、ラーヴァナに授けました。
シヴァの恩寵は、持ち主の行いによって失われ得るものだったとも解釈されています。
実際、ラーヴァナがこの剣を「ジャターユ(聖なるハゲワシ)」のような高潔な存在に対して使った際、剣はシヴァの元へ去ってしまった(あるいは威力を失った)という伝承があります(詳しくは「怪鳥ジャターユ殺害」参照)。
そのため、ラーヴァナはラーマとの最終決戦でチャンドラハースを使うことができませんでした。
「最強だが、悪用すれば去っていく」という、破壊神らしい気まぐれな剣でもあります。



現代の創作や解釈では、ラーヴァナの劇的な人生になぞらえて「持ち主の運命を狂わせる魔剣」として描かれることも多いです
インド神話の魔王の魔剣は格付けするとは何位にランクインするのでしょうか?
気になる順位はインド神話の最強武器ランキングの記事で発表していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
おすすめ記事
▶︎【TOP12】インド神話最強武器ランキング!世界を破壊するチート兵器と神話


チャンドラハースの所有者はラーヴァナ


Ravana.
チャンドラハースの所有者はラーマーヤナ最大の敵役・魔王ラーヴァナです。
ラーヴァナの武器
- チャンドラハース(曲刀)
- プシュパカ・ヴィマナ(空中戦車)
ラーヴァナは破壊神シヴァに捧げる苛烈な苦行、自身の首を切り落とす儀礼的献身、宇宙秩序すら揺るがす執念によって、多くの恩寵を得ていました。
しかし、シヴァやブラフマーから強すぎる力を与えられた結果、ラーヴァナは傲慢(ヒュブリス)になり、自滅してしまいます。
チャンドラハースにまつわる神話


チャンドラハースにまつわる神話をまとめました。
タップで飛べます
怪鳥ジャターユ殺害


Ravana fighting with Jatayu.(1914年)
魔王ラーヴァナがシータ姫をプシュパカ・ヴィマナに乗せて誘拐した際、その泣き声を聞きつけた巨大な鷲の王ジャターユ(ラーマの父ダシュラタ王の旧友)が救出に向かいました。
ジャターユは老齢の身でありながら、空中でプシュパカ・ヴィマナに体当たりし、魔王ラーヴァナと壮絶な空中戦を繰り広げました。
ラーヴァナの弓を折り、戦車の屋根や装飾を破壊するなど善戦し、ラーヴァナを墜落寸前まで追い詰めました。
しかし、最終的には力の差で及ばず、チャンドラハースによって翼を切り落とされ、地上に墜落してしまいます。
シータ姫はそのままプシュパカ・ヴィマナで連れ去られてしまいましたが、瀕死のジャターユは後から追ってきたラーマとラクシュマナに「シータ姫がラーヴァナに南の方角へ連れ去られた」という重要な情報を伝えてから息絶えました。



高潔な存在であるジャターユの翼を斬るのに使ったせいで、チャンドラハースはシヴァ神の制約により霊力を失った(あるいはシヴァの元へ帰ってしまった)と解釈されることがあります
ラーマとの決戦


Anonymous – Rama and Laksmana Fighting Ravana – 1953.357 – Cleveland Museum of Art.(1765年)
『ラーマーヤナ』の最終決戦において、ラーヴァナはチャンドラハースを振るってラーマ王子(ヴィシュヌの化身)と戦いました。
しかし多くの伝承において、チャンドラハースは最後にはラーヴァナの運命を変えることはできませんでした。
チャンドラハースはシーター姫を誘拐するという「非道」のために振るわれた時、すでに神聖な加護は失われたと考えられています。
最終的にラーヴァナは、ラーマのブラフマーストラによって討たれました。
チャンドラハースが現代作品に与える影響


チャンドラハースは日本作品では登場例が少ないものの、「魔剣」「運命を狂わせる剣」の原型として現代作品に影響を与えています。
- 『Fateシリーズ』
インド神話由来の設定・資料において、ラーヴァナの神剣として言及されることがある - 『ファイナルファンタジーシリーズ』
強力な武器「チャンドラハース」として登場
討滅戦「真/極ラーヴァナ」でボスが使用する強力な履行技 - 『モンスターストライク(モンスト)』
ラーヴァナのSS「破壊のチャンドラハース」として登場



チャンドラハースは日本語圏では知名度が低いものの、神話的にはとても重要な剣なのです
インド神話最強ランキング
▶︎【TOP12】インド神話最強武器ランキング!世界を破壊するチート兵器と神話









