
| 名称 | 炎の剣(特別な名称なし) |
|---|---|
| 神話体系 | 北欧神話 |
| 所有者 | スルト |
| 製作者 | 不明 |
| 形状 | 太陽よりも眩しく輝く炎の剣 |
| 主な能力 | 太陽以上の輝きを持つ 世界樹ユグドラシルと全世界を焼き尽くす |
炎の剣は北欧神話に出てくる巨人スルトの武器です。
まい炎の剣は太陽よりも眩しく輝き、狼に太陽を飲み込まれたラグナロクの世界で光源になったとも言われています
北欧神話の最後を飾る「ラグナロク(神々の黄昏)」のクライマックスで、全宇宙を焼き払い、世界を滅ぼした武器が炎の巨人の王スルトが振るう、名前もなき「炎の剣」です。
太陽よりも明るく輝き、神々すらも打ち倒すこの剣は、フレイが「勝利の剣」を手放していなければ対抗できたかもしれないという、悲劇的なIF(もしも)の物語とも深く結びついています。
以下で炎の剣について詳しく解説していきます。
炎の剣誕生秘話


炎の剣は北欧神話に登場します。
製作者は不明ですが、起源は主神オーディンよりも古いと考えられています。
北欧神話の世界の根源である「原初の炎」そのもの、もしくは「原初の炎」から生まれたと解釈されています。
炎の剣はレーヴァテインではない


炎の剣は邪神ロキが鍛えた「レーヴァテイン」と混同されますが、以下の根拠から別物であると考えられます。
| 項目 | ![]() ![]() 炎の剣 | ![]() ![]() レーヴァテイン |
|---|---|---|
| 製作者 | 不明 | ロキ |
| 用途・能力 | 世界を焼き払う | ラグナロクのてっぺんにいる雄鶏ヴィゾーヴニルを倒す |
| 所有者 | スルト | シンモラ(スルトの妻) |
| 保管場所 | 常にスルトが持っている | レーギャルンの箱に鍵を9つつけて厳重に保管 |
明確な違いがあるにも関わらず、炎の剣とレーヴァテインが混同されている理由は主に3つあります。
- レーヴァテインの所有者シンモラがスルトの妻である
- シンモラが持っている剣がすごい武器で、夫のスルトがラグナロクで剣で世界を焼き払ったということはそれが炎の剣?という連想
- 現代作品で「炎属性の最強の剣=レーヴァテイン」とされている
神話原典から考察すると、炎の剣とレーヴァテインは別物です。
しかしシンモラとスルトが夫婦である点から、現代作品ではしばしば同一視されて「スルトが振るう炎の剣=レーヴァテイン」と解釈されています。



北欧神話においてレーヴァテインの情報は少なく、そもそも炎属性という情報もありません
炎の剣がフレイの勝利の剣だった可能性


炎の剣はフレイが持っていた「勝利の剣」であった可能性も論じられています。



勝利の剣はイーヴァルディの息子で鍛冶屋のヴェルンド(ドワーフ)によって制作されたと言われる豊穣神フレイの剣でした
起源だけを見れば炎の剣と勝利の剣は別物ですが、実は「巫女の予言」からスルトが持っていたのは「炎」と「輝く剣」だったのでは、という有名な考察があります。
この考察の根拠は主に3つあります。
- 勝利の剣はフレイが女巨人ゲルズを得るために、従者スキールニルが巨人の国に持ち込んだまま行方不明になっている
- 炎の剣も勝利の剣も光り輝く剣という共通点がある
- フレイが最期、スルトによって倒される場面が勝利の剣によるとすると、北欧神話に多い「運命の皮肉」が完成する



フレイがかつて愛する人を得るために手放した自分の剣で貫かれる、という悲劇性は北欧神話には十分あり得る展開です
北欧神話の原点として有名な「スノッリのエッダ」には、明確に同じとも違うとも描かれていません。
真相は神話の闇の中ですが、この解釈は北欧神話の「避けられない運命」という悲劇的なテーマをより深くするとして支持されています。
炎の剣の能力


炎の剣は「太陽を超える輝き」と「世界を焼き尽くす」能力を持っています。
北欧神話の原典として有名な「スノッリのエッダ」には、「スルトが剣を振るうと、その輝きは太陽よりも眩しい」と記されています。



ラグナロクの世界は狼に太陽と月が飲み込まれた闇の世界なので、炎の剣から唯一の光源として存在できるほどのエネルギーを感じさせますね
炎の剣の役割は北欧神話が始まったときから「世界を焼き尽くすこと」とされ、そのために存在していた圧倒的破壊力を持った剣でした。
ラグナロクの最後にスルトが炎の剣で大地に炎を放つと、世界樹ユグドラシルの9つの世界が紅蓮の炎に包まれて焼き尽くされたのちに海に沈むとされています。
世界樹ユグドラシルの9つの世界


Yggdrasil.(1847年)
- アースガルズ:アース神族の国
- ヴァナヘイム(ヴァナランド):ヴァン神族の国
- アールヴヘイム:妖精の国
- ミズガルズ:人間の国
- ヨトゥンヘイム(ウートガルズ):巨人の国
- ニザヴェッリル:小人の国
- スヴァルトアールヴヘイム:黒い妖精の国
- ニヴルヘイム:霧の国(奥にヘルヘイム(死者の国)がある)
- ムスペルヘイム:炎の国
炎の剣の所有者はスルト


The giant with the flaming sword(1909年)
炎の剣の所有者は巨人スルトです。
スルトは「黒」や「焦げたもの」を意味する名前で、炎の国ムスペルヘイムを支配する巨人の王と言われています。



ムスペルヘイムは世界の南の果てにあり、原初から存在する世界の一つです
スルトは太古の昔からムスペルヘイムの番人として入り口に立っており、世界の始まりから炎の剣を携えていたと言われています。
世界の始まりからずっと中立を貫いていましたが、ラグナロクではムスペルの子ら(炎の軍勢)を率いてアースガルズに攻め入って神々を滅ぼすラスボス的な存在です。
炎の剣にまつわる神話


炎の剣にまつわる神話をまとめました。
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ラグナロクではフレイと戦って倒した


Freyr and Surtr by Frølich.(1895年)
ラグナロクが始まると、スルトは炎の剣を掲げてムスペルの炎の軍勢を率いて、天にかかる虹の橋ビフレストを渡ってアースガルズに攻め入ります。
スルトの剣のあまりの熱と軍勢の勢いのあまり、虹の橋は崩れ落ちてしまいました。
アースガルズに入ったスルトは豊穣神フレイと対峙。
フレイはゲルズを得るために最強の剣であった勝利の剣を手放していたので、鹿の角で応戦します。
もともと戦いの神だったフレイは勇敢に戦いましたが、もちろん鹿の角ではスルトの炎の剣には敵いません。
フレイはスルトによって切り倒されてしまいました。



このとき勝利の剣があればスルトに勝てた、とも言われており、恋の代償としてはかなり大きな損失ですよね
ラグナロクの最後にユグドラシルごと世界を焼き払った


Ragnarök by Doepler.(1905年)
ラグナロクではフレイがスルトに、オーディンは大狼フェンリルに、トールは大蛇ヨルムンガンドに倒され、神々と怪物が共倒れに。



ラグナロクを引き起こしたロキもヘイムダルと相打ちとなりました
次々に倒れていく中で、戦場にはスルトだけが生き残ります。
スルトは全宇宙に向かって炎を投げつけるために炎の剣を振りました。
剣から放たれた炎は世界樹ユグドラシルを焼き尽くし、大地は海に沈んで世界は一度「無」に帰しました。



新世界では一度死んでしまった光の神バルドルやトールの息子たちが、平和な世界を作ったと言われています
炎の剣が現代作品に与える影響


炎の剣はラグナロクの最後に世界を滅ぼしたことから、「最強の炎の剣」としてゲームなどにも登場します。
炎の剣が現代作品に与える影響
世界を滅ぼす武器


炎の剣は現代ゲームや小説でも、世界を滅ぼす炎の武器としてインスピレーションを与えています。
モチーフ例
- ラスボスが使う世界を崩壊させる最強の炎属性の武器
- 主人公が使う最強の炎属性の魔法・武器
世界を崩壊させるほどの最強クラスの武器が炎属性だった場合、源流には炎の剣があります。
独自の名前を補完して登場


炎の剣には独自の名前がありませんが、創作作品では独自の名前がつけられて登場することもあります。
- フランベルジュ
- ラグナロク



炎の剣はレーヴァテインではないですが、現代作品ではしばしば混同されてスルトの剣の名前がレーヴァテインだとされています










