
| 名称 | ガラティーン |
|---|---|
| 神話体系 | アーサー王伝説 |
| 所有者 | ガウェイン卿 |
| 製作者 | 湖の乙女(妖精) |
| 形状 | エクスカリバーと瓜二つの「双子剣」 太陽のような熱を帯びた黄金の光を放つ |
| 主な能力 | エクスカリバーに匹敵する切れ味 太陽の光を放つ 正午に最大の力を発揮する |
ガラティーンはアーサー王伝説に出てくるガウェイン卿の武器です。
アーサー王伝説に登場する数多の聖剣の中で、王の剣エクスカリバーと「対」をなす、もう一振りの聖剣が存在します。
それがエクスカリバーの姉妹剣であり、円卓の騎士ガウェインが振るう「輪転する勝利の剣ガラティーン」です。
ランスロットのアロンダイトを含めた「湖の三姉妹剣」の中でも、最もエクスカリバーに近い輝きを持つとされる「太陽の剣ガラティーン」。
太陽が高く昇る正午に力が3倍になるというガウェインの加護と共に、戦場を焼き尽くした最強の聖剣の伝説を解説します。
ガラティーン誕生秘話


ガラティーンはアーサー王伝説に登場する聖剣です。
ガラティーンは単なる名剣ではなく、アーサー王の聖剣エクスカリバーと深い関わりを持っています。
その性能はエクスカリバーに勝るとも劣らず、一説には「エクスカリバーの影(写し身)」とも呼ばれました。
エクスカリバー・ガラティーン・アロンダイトは三姉妹剣


ガウェインのガラティーン、アーサー王のエクスカリバー、ランスロットのアロンダイトは全て「湖の乙女(妖精)」によって鍛えられた、同じ起源を持つ「三姉妹の聖剣」です。
| 序列 | 剣の名前 | 所有者 | 属性イメージ | 運命 |
|---|---|---|---|---|
| 長女 | エクスカリバー | アーサー王 | 星 / 光 | 湖に返還された |
| 次女 | ガラティーン | ガウェイン | 太陽 / 炎 | 持ち主と共に散った |
| 三女 | アロンダイト | ランスロット | 月 / 水 | 魔剣となり埋葬された |



どれも湖の乙女から受け取ったと言われていますが、辿った運命は全く異なるのが特徴的ですね
ガラティーンの能力


ガラティーンの強さは、剣そのもののスペックと持ち主ガウェインの特異体質が組み合わさることで発揮されます。
神話の記述では、エクスカリバーと同じく「鉄を木のように斬る」鋭さと、決して折れない耐久性を持っていたとあります。
ガラティーンは円卓の騎士たちの武器の中でも、最高ランクの聖剣の一つなのです。
また、剣の能力というよりはガウェイン自身の能力で「午前9時から正午(12時)までの3時間、力が3倍になる」という太陽の加護を持っていました。
この時間帯のガウェインとガラティーンは、ランスロットのアロンダイトさえも圧倒する無敵の強さを誇りました。



この逸話から、ガラティーンは「太陽のエネルギーを帯びた剣」として描かれることが多いのです
ガラティーンはエクスカリバーにそっくりだった?


ガラティーンは姉であるエクスカリバーと「同じ鋳型」で作られたとされるほど、形状が酷似していたと言われています。
パッと見では区別がつかないほど洗練された美しいフォルムを持っており、これが「エクスカリバーの影(写し身)」と呼ばれる所以です。



ガウェインがアーサー王の影武者を務めることができたのも、ガラティーンが「王の剣」としての威厳を十分に持っていたからだと言えます
エクスカリバーとの最大の違いはその「輝き」です。
聖剣エクスカリバーが「松明のような鋭い閃光」を放つのに対し、ガラティーンは「太陽のような熱を帯びた黄金の光」を放ちます。
またガラティーンは正午に近づくにつれて刀身は赤熱し、周囲を焼き払うほどのエネルギーを纏ったと考察されています。
刀身の刻印については神話に記述がありませんが、姉妹剣であるエクスカリバーやアロンダイトと同様に、人智を超えた「妖精の文字」が刻まれていた可能性が高いです。
ガラティーンの所有者はガウェイン卿


Arthur-Pyle Sir Gawaine the Son of Lot, King of Orkney.(1903年)
ガラティーンの所有者はガウェイン卿です。
ガウェイン卿はアーサー王の甥であり、円卓の騎士の中でも最古参のリーダー格です。
朝から昼にかけて無敵になる「太陽の騎士」として知られ、ランスロットが現れるまではガウェイン卿こそが「騎士道の模範」「最強の騎士」として物語の主役を務めていました。
弟たち(ガレス、ガヘリス)を殺されたことで、かつての親友ランスロットを激しく憎み、円卓の騎士の分裂時にはアーサー王側についてランスロット討伐を強硬に主張しました。
ガウェインのルーツは「クー・フーリン」説が有力


Cuchulain in Battle.(1911年)
太陽の加護を持ち、ガラティーンを振るうガウェイン卿。
実は、ガウェイン卿のモデルはケルト神話の英雄「クー・フーリン」という有力な説があります。
その根拠は2つあります。
- 「太陽」に深く関わる力を持っていること(クー・フーリンの父は太陽神ルー)
- 怪物と「首切りゲーム(互いの首を切り合う試練)」を行うという、全く同じ伝説を持っていること
「首切りゲーム」とは


Gawain and the Green Knight.(14世紀後期)
クー・フーリンの首切りゲーム
- 巨大な怪物が現れ、「私の首を切ってみろ。その代わり、翌日は私が御身の首を切る」と提案
- 他の英雄は逃げ出すが、クー・フーリンだけが約束を守って翌日首を差し出し、その勇気を称えられて許される
ガウェイン卿の首切りゲーム
- 緑色の巨人が現れ、「私の首を切ってみろ〜(同上)」と提案
- ガウェインだけが約束を守って首を差し出し、許される



クー・フーリンもガウェイン卿も怪物相手によく似た異常な試練をクリアしているのです
アーサー王伝説はケルト神話が元になって生まれました。
偉大な英雄クー・フーリンの魂とエピソードは、時代を超えてガウェインという騎士に受け継がれ、ガラティーンという太陽の剣に形を変えて輝き続けているのかもしれません。
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ガラティーンにまつわる神話


ガラティーンにまつわる神話をまとめました。
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ローマ皇帝軍を一撃で両断した(勝利)


Arthur-Pyle Sir Gawain.(1903年)
ガラティーンが「エクスカリバーの双子」と呼ばれるにふさわしい切れ味を見せたのが、ローマ帝国軍との戦争におけるエピソードです。
アーサー王軍がローマ皇帝ルシウスの軍勢と激突した際、ガウェイン卿は先陣を切って敵陣に突撃しました。
時は正午近く、ガウェイン卿の力が頂点に達していた時です。
ガウェイン卿はガラティーンを振りかざし、ローマ軍の勇将(あるいは皇帝の甥)に斬りかかりました。
ガラティーンの一撃は、敵の「分厚い鉄の盾」ごと相手の兜を割り、そのまま鎖帷子を引き裂いて胸までを一刀両断にしました。
まるで紙を切るかのようなこの恐るべき一撃を見てローマ軍は恐怖し、ガウェイン卿の通り道を開けたといいます。
この一撃こそガラティーンがただの剣ではなく、聖剣エクスカリバーと同等の破壊力を持つことの証明とされています。
アロンダイトとの決闘(敗北)


ガラティーンが敗北したのは、かつての盟友ランスロットとの一騎打ちです。
ランスロットによって弟たちを殺されたガウェイン卿は、復讐のためにランスロットに決闘を挑みます。
ガウェイン卿は聖剣ガラティーンを、ランスロットは魔剣アロンダイトを抜き放ちました。
決闘は朝から始まり、午前中のガウェインは「力が3倍」になっているので最強の騎士ランスロットを圧倒。
ランスロットを防戦一方に追い込み、ガラティーンの猛攻はアロンダイトを弾き飛ばす勢いでした。



しかし、親友のランスロットはガウェイン卿の「太陽の加護」の秘密(正午を過ぎると力が戻ること)を知っていました
ランスロットは巧みに防御に徹して時間を稼ぎます。
そして正午を過ぎて太陽が傾き始めた瞬間、ガウェイン卿の力がガクンと落ちました。
その隙を見逃さなかったランスロットのアロンダイトが一閃。
ガウェイン卿は頭部に重傷を負って敗北し、この傷が原因でガウェインは後に命を落とすことになります。
しかし、ランスロットほどの使い手が「時間を稼いで耐えるしかなかった」という事実が、午前中のガウェインとガラティーンがいかに手がつけられない強さだったかを物語っています。
ガラティーンが現代作品に与える影響


ガラティーン、アロンダイト、エクスカリバーは『Fate』シリーズによって現代的なイメージが定着しました。
『Fate/EXTRA』『Fate/Grand Order』では、ガラティーンは「転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)」として登場。
刀身に「擬似太陽」が封じられており、振るうと太陽の熱線を放出して周囲を焼き払います。
「転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)」は、神話での「正午に強くなる」設定を「剣の中に太陽が入っている」というド派手な設定に昇華させています。



Fateの中でエクスカリバーが「一筋のビーム」なら、ガラティーンは「広範囲を薙ぎ払う熱波」として差別化されています。
またゲーム内での圧倒的なステータス(バスターゴリラ)のイメージから、ガラティーンも「繊細な剣技より、力任せに叩き潰す剣」というマッチョな印象で描かれることが多くなりました。
しかし、神話の「ローマ皇帝軍を一撃で両断した(勝利)」というエピソードを見れば、あながち間違いではない解釈と言えるでしょう。








