| 名称 | ミョルニル |
|---|---|
| 神話体系 | 北欧神話 |
| 所有者 | トール |
| 製作者 | ドワーフ（ブロックとエイトリ（シンドリ）） |
| 形状 | 柄の短い槌（ハンマー） |
| 主な能力 | 必中 どんな巨人も一撃で倒す 投げた後は持ち主の元に戻る |
ミョルニルは北欧神話に出てくる雷神トールの武器です。
まいミョルニルは柄が短いので、ヤールングレイプルという鉄の手袋をすることで効果を最大限に発揮できたそうです
以下でミョルニルについて詳しく解説していきます。
ミョルニル誕生秘話
ミョルニルは北欧神話に出てくる最強の武器の一つです。
製作者はドワーフの兄弟ブロックとエイトリ（シンドリ）と言われています。
あるとき邪神ロキが雷神トールの妻の雷神トールの妻シヴの美しい髪の毛を刈った詫びとして、ドワーフ（イーヴァルディの息子たち）に自然に伸びる黄金の髪の毛を作らせました。
Loki and Dvalin.（1871年）
このときドワーフたちは同じ炉を使って全部で3つの宝物を製作しました。
宝物の出来が良かったことで調子に乗った邪神ロキは、ドワーフの兄弟ブロックとエイトリ（シンドリ）に自分の首をかけて「お前たちにはこれ以上のものは作れないだろう」と挑発します。
ブロックとエイトリ（シンドリ）は賭けに乗り、3つの宝物を製作しました。
- グリンブルスティ（黄金に耀く猪）
- ドラウプニル（黄金の腕輪を生み出す腕輪）
- ミョルニル（絶大な力のハンマー）
まい負けたくないロキはハエに化けて製作の邪魔をしたので、ミョルニルの柄は本来の予定よりも短くなったそうです
3つの宝物は神々に披露され、その破壊力でミョルニルが最高の宝物と判定されました。
ミョルニルの能力
ミョルニルの能力は「的に必ず当たる」「どんな巨人も一撃で倒す」「投げた後は持ち主の元に戻る」です。
ミョルニルはひとたび目標物に向けて投げれば、決して的を外さずに打ち砕いた後に手元に戻ってきます。
その破壊力は神々の最大の敵である巨人族（ヨトゥン）を一撃で倒すほど凄まじい力なのです。
まい神話によっては、使わないときは小さくして服の中に隠しておける、という話もあります
ただし制作中に邪神ロキの邪魔が入ったため、ミョルニルには柄が短いという弱点がありました。
さらにミョルニルはとても重くて常人では触れられないほど熱かったとも言われます。
なので雷神トールは、強すぎて扱いの難しいミョルニルを2つのアイテムで制御していました。
- ヤールングレイプル：鉄の手袋でミョルニルを握って受け止める役割
- メギンギョルズ：雷神トールの力を増幅させる帯
ミョルニルの名前の由来は「打ち砕くもの」という言葉です。
またミョルニルには破壊以外にも戦車を引く山羊を復活させる力や、バルドルの葬儀で聖別した話もあります。
まさにミョルニルは北欧神話を代表する特別な武器なのです。
ミョルニルの所有者はトール
Thor Lightning Strikes.
ミョルニルの所有者は雷神トールです。
雷神トールは主神オーディンと大地の女神ヨルズの息子で、北欧神話最強の戦士の一人です。
妻はアース神族で美しい髪を持つ女神シヴです。
まいシヴは結果としてオーディンの槍グングニルやミョルニルを作るきっかけとなった人物です
ラグナロクではヨルムンガンドの頭を粉砕した雷神トールですが、九歩後退りした後に倒れていまいます。
トール亡き後は、息子のモージとマグニがミョルニルを受け継いで新世界で活躍したそうです。
ミョルニルにまつわる神話
Thor (Walhall).（1888年）
ミョルニルにまつわる神話をまとめました。
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巨人スリュムに盗まれたミョルニル
Thrym’s Wedding-feast.（1908年）
ある朝雷神トールが目覚めると、ミョルニルが盗まれていました。
邪神ロキに調査してもらったところ、犯人は巨人族のスリュムと判明。
雷神トールはミョルニルを返すように言いますが、スリュムは「女神フレイヤを妻としてよこせ」と言います。
愛と豊穣の女神フレイヤは激怒して拒否し、神々は困りました。
すると神々の門番ヘイムダルが「トールが花嫁に偽装して巨人族の国ヨトゥンヘイムに行けばいい」と提案。
雷神トールは猛反発しますが、邪神ロキや神々から「ミョルニルがなければ神の国アスガルドは巨人族に滅ぼされてしまう」と説得されて渋々了承しました。
まいこのときちゃんとフレイヤに見えるように、フレイヤの服やブリーシンガメンを身につけて行ったと言われています
邪神ロキも侍女に変装して同行し、結婚式で暴食して暴走する雷神トールの補助をしました。
結婚式は無事に進み、いよいよ儀式となり巨人スリュムが二人の結婚を祝福するためにミョルニルを花嫁（雷神トール）の膝に乗せます。
この瞬間、雷神トールはミョルニルをつかみ取って巨人族を全員倒し、無事にミョルニルを取り戻してアースガルズに戻りました。
巨人フリングニルとの決闘で活躍
Thor und Hrungnir.（1865年）
巨人フリングニルはオーディンの馬スレイプニル（邪神ロキの子で足が8本の馬）との競争で、ヴァルハラ宮殿に誤って侵入してしまいます。
オーディンは巨人フリングニルを客としてもてなしましたが、女神フレイヤの注いだ酒に酔った巨人フリングニルは暴言を吐き始めました。
そこへ雷神トールが現れて怒り、後日雷神トールと巨人フリングニルが決闘することになりました。
決闘は神の国アースガルズと巨人の国ヨトゥンヘイムの境にあるグリョートトゥーナガルザルで行われることに。
雷神トールがミョルニルを投げると同時に、巨人フリングニルも武器である巨大な砥石（といし）を投げました。
しかし激突した瞬間にミョルニルが砥石を砕いて、巨人フリングニルの頭蓋骨も粉砕しました。
まい実はこのとき砥石の破片が雷神トールの頭に刺さってしまい、死ぬまで取れなかったと言われています
戦車を引く山羊を復活させる
Thor in his chariot.（1865年）
雷神トールは2頭の魔法の山羊が引く戦車に乗っていました。
ヤギの名前
- タングニョースト（歯を剥き出すもの、という意味）
- タングリスニ（歯軋りするもの、という意味）
なんと雷神トールは空腹になるとこの2頭のヤギを食べてしまいます。
しかし骨と皮さえ残っていれば、翌日に雷神トールがミョルニルをふることで祝福を受けて生き返るのです。
ちなみに肉は食べられても問題なく復活できますが、骨を傷つけられると復活後も折れたままとなってしまいます。
まい2匹の魔法の山羊を大事にしていた雷神トールですが、巨人の国への遠征の時にシャールヴィという人間が骨を傷つけてしまったので雷神トールの激怒を買いました
バルドルの葬儀で聖別した
Odin’s last words to Baldr.（1908）
ミョルニルは光の神バルドルの葬儀では聖別したと言われています。
邪神ロキの策略によって命を落としてしまった光の神で主神オーディンと女神フリッグの息子バルドル。
まい光の神バルドルは雷神トールの異母兄弟です
神々はバルドルの死を嘆き悲しみ、光の神に相応しい盛大な葬儀を行うことにします。
バルドルの身体はフリングホルニ（バルドルの最大の船）に乗せられて船ごと火葬されることになりました。
フリングホルニには、悲しみのあまり胸が張り裂けてしまったバルドルの妻ナンナも共に並べられたそうです。
Balder und Nanna（1882年）
しかしフリングホルニはあまりに重くて船を岸から沖へ動かすことができません。
そこで神々は女巨人ヒュロッキンを呼び、フリングホルニを沖へ押し出してもらいました。
最後に火がつけられる前に、雷神トールがミョルニルを掲げて聖別したと言われています。
まいここではミョルニルは武器ではなく、故人の旅立ちを祝福する「神聖な儀式の道具」として使用されました
ラグナロクではヨルムンガンドの頭を粉砕した
Thor and Jörmungandr
邪神ロキと子供達が炎の巨人たちとアースガルズに攻めてきたことを知らせるギャラルホルンが、ユグドラシルの9つの世界に響きわたり、ついにラグナロクが開戦。
世界樹ユグドラシルの9つの世界
Yggdrasil.（1847年）
- アースガルズ：アース神族の国
- ヴァナヘイム（ヴァナランド）：ヴァン神族の国
- アールヴヘイム：妖精の国
- ミズガルズ：人間の国
- ヨトゥンヘイム（ウートガルズ）：巨人の国
- ニザヴェッリル：小人の国
- スヴァルトアールヴヘイム：黒い妖精の国
- ニヴルヘイム：霧の国（奥にヘルヘイム（死者の国）がある）
- ムスペルヘイム：炎の国
雷神トールはミョルニルを持って世界蛇ヨルムンガンドと戦いました。
ヨルムンガンドは邪神ロキと女巨人アングルボザとの間に生まれた3人の怪物のうちの一人です。
邪神ロキの3人の子（怪物）
The children of Loki（1920年）
- フェンリル：巨大な狼
- ヨルムンガンド：巨大な毒蛇
- ヘル：ヘルヘイムを治める半身が腐った死者の女神
ラグナロクでは雷神トールはミョルニルを3度投げつけ、ヨルムンガンドを倒します。
しかし最期にヨルムンガンドに吹きかけられた毒で、雷神トールも九歩後ずさったのちに倒れてしまいました。
結果、決着は相討ちという形で終わったのでした。
ミョルニルが現代作品に与える影響
ミョルニルは神話の武器としてはおそらく世界で最も有名なものの一つと言えます。
まいミョルニルは名前だけでなく「雷＋ハンマー」という組み合わせ、手元に戻るギミックも現代作品にインスピレーションを与えています
ミョルニルが現代作品に与える影響
「雷神の槌（ハンマー）」としての絶大な知名度
ミョルニルは「雷を呼ぶハンマー」としての知名度が高く、独自のポジションを確立しています。
現代作品でも「雷のハンマー＝ミョルニル」としていくつも登場作品があります。
- 映画：マイティ・ソー
- ゲーム：グランブルーファンタジー、モンスターストライク、ペルソナ3リロードなど
まい直接ミョルニルという名前でなくても、雷属性の武器としてハンマーがデザインされることも多いです
「選ばれた者の武器」という概念
ミョルニルは柄が短く、重くて熱いので、雷神トールでも専用の鉄の手袋（ヤールングレイプル）がないと使えませんでした。
映画マイティ・ソーでは「相応しいものしか持ち上げられない」という重要な設定を加え、現代作品にも大きな影響を与えました。
- アベンジャーズ／エイジ・オブ・ウルトロン：ハンマーを持ち上げようとするシーン
- アベンジャーズ／エンドゲーム：キャプテン・アメリカが持ち上げるシーン
まいこれによってミョルニルはキャラクター性を測るアイテムとしても意味を持つケースが増えました
「手元に戻る武器」の元祖
ミョルニルは投げて当たったあとは必ず手元に戻ってきます。
この特徴的な能力も現代作品に多くのインスピレーションを与えました。
- スローイングハンマー
- チャクラム
まい投げた後に自動で戻ってくる能力は強力で目立つので、とくにゲームの武器の特徴として採用されています
