
| 名称 | オハン |
|---|---|
| 神話体系 | ケルト神話 |
| 所有者 | コンホヴァル(コノール・マック・ネッサ) |
| 製作者 | マック・エンゲ |
| 形状 | 黄金の装飾が施された盾 |
| 主な能力 | 王の危機に叫び声を上げる カラドボルグの一撃を防ぐ防御力 |
オハンはケルト神話に出てくるアルスターの王コンホヴァルの防具です。
まいアルスター神話の中でも最強の剣の一つとして英雄フェルグスの魔剣カラドボルグが有名ですが、オハンはその攻撃を防いだ最強の防御力で有名です
「嘆き(Groan)」という意味の名を持つオハンは、王に危機が迫ると人間のように叫び声を上げ、アイルランド全土にその危機を知らせるという、驚異的な警報能力を持っていました。
最強の剣カラドボルグを防義、アルスターの王コノール(コンホヴァル)を守りきった最強の盾の伝説を解説します。
オハン誕生秘話


オハンはケルト神話に登場する盾です。
制作者はアルスターの伝説的な宮廷鍛冶師のマック・エンゲと伝えられています。
マック・エンゲはただの人間ではなく、魔法のような技術を持つ名工でした。



マック・エンゲは技術の粋を集め、コンホヴァル王のために物理的な防御力だけでなく、王の危機を国中に知らせる「魔法の警報システム」を盾に組み込みました
そんな名工に作られたオハンは、アイルランドの神話における「三大盾」の一つに数えられる名品です。
オハン「Ochain」とは「嘆き(moan)」や「呻き」を意味する名前で、盾が発する「音」に由来します。
また、「美しい耳(Oh-ein)」にも由来し、その輝きと形状が美しい耳のようだったから、という説もあります。
外観は王の盾にふさわしく、黄金の縁取りや装飾が施されていたとされます。
カラドボルグ(虹の剣)と対峙したときには、その輝きが同士がぶつかり合ったと想像されます。
オハンの能力


オハンの能力は防御だけにとどまらず、現代のセキュリティシステムのような機能を持っていました。
- 絶対防御(対カラドボルグ)
- 悲鳴を上げる(防犯ブザー機能)
- 共鳴する波と盾(全国一斉警報)
オハンの防御力は神の剣であるカラドボルグの攻撃を三度も防ぐほど堅固でした。



人間が作ったにも関わらず、神の武器(カラドボルグ)の攻撃を防いだというのが恐るべき防御力・技術力を表していますね
持ち主であるコンホヴァル王が傷ついたり、絶体絶命の危機に陥ったりするとオハンは「人や獣のように」大きな叫び声を上げます。
この叫びは戦場のどこにいても聞こえるほど大きく、味方に「王の一大事」を知らせました。
さらにオハンが叫ぶと、それに呼応してアイルランドの守りである「三つの大波(クレオナの波、トァイズの波、ルリーの波)」が荒れ狂い、咆哮します。
それにつられてアルスターの戦士たちが持つすべての盾も一斉に鳴り響くとされています。



つまり、オハンが叫べば国中の戦士が「王が危ない!」と即座に理解し、駆けつけることができたのです
オハンはコンホヴァル王の正当性を表す黄金の盾だった
オハンは王の正当性を表す黄金の盾だったと語られています。
オハンの外観
- 4つの黄金の縁(リム)
- 古代ケルトの長楕円形
- 輝く青銅と装飾



オハンの最大の特徴は「4重の黄金の縁取り」で、王の絶対的な権威と、四方八方からの攻撃を防ぐ防御力を象徴しています
形状はカラドボルグの攻撃から王を無傷で守ったことから、古代ケルト特有の縦に大きな楕円形であったと考えられます。
ベースとなる素材は強固な青銅(ブロンズ)で、そこに複雑な渦巻き模様(ラ・テーヌ文様)や赤いガラス玉の装飾や黄金の縁からなる王にふさわしい美しさを持った盾だったのでしょう。
とはいえオハンは単なる防具ではなく、アイルランドの国土(波)とリンクした王権の象徴でもありました。
オハンの「アイルランドの三つの波」と共鳴して叫ぶという能力は、「この盾の持ち主こそが、アイルランドの正統な王である」と国土自体が認めていることを意味します。



オハンはコンホヴァルが王になった時、コンホヴァルを守るために国中の魔力を結集して作られた最強の盾だったのです
オハンの所有者はコンホヴァル


オハンの所有者はアルスターの王コンホヴァルです。
コンホヴァルはクー・フーリンが仕えた主君であり、フェルグス・マック・ロイを裏切って王位についた人物でもあります。



王位を追われた怒りから、「クーリーの牛争い」でフェルグスにカラドボルグで三度も斬りかかられましたが、オハンによって乗り切りました
神話の中では、冷酷な面もありますが、優れた統率力を持つ王として描かれます。
オハンにまつわる神話


オハンにまつわる神話をまとめました。
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「クーリーの牛争い」でカラドボルグの攻撃を防いだ


コンホヴァル王によって王位を追われた元アルスターの王フェルグス・マック・ロイ。
「クーリーの牛争い」の戦場でコンホヴァル王を見つけたフェルグスは、魔剣カラドボルグを両手で振り上げ、殺意を込めて叩きつけます。
コンホヴァル王はすかさずオハンを掲げて防御すると、「ドォン!」 という衝撃音が響きますが、オハンは砕けません。
フェルグスは怒りに任せて二度、三度と剣を叩きつけますが、盾の縁がゆがむ程度で、王の命には届きませんでした。


カラドボルグの一撃を受けたオハンは、王の死の気配を感じ取りって凄まじい悲鳴(嘆き)を上げました。
この叫びを聞いたコンホヴァル王の息子コーマック(フェルグスの弟子)が、遠くから全速力で駆けつけます。
コーマックはフェルグスの腕を掴み、「宿敵とはいえ王を殺してしまっては名誉が汚れる」と静止しました。
名誉を重んじるフェルグスはコーマックの意見を聞き入れますが、怒り発散するために丘に一撃を放ちました。
この一撃で3つの丘の頂上は消し飛び、現在の「ミーズの平らな頂」と呼ばれる伝承につながったと言われています。



この神話はまさにオハンの警報機能が、王の命を救った瞬間でした
コンホヴァル王とともに埋葬された可能性が高い


コンホヴァル王の死後、オハンがどうなったのか神話では語られていません。
本来であれば、父を救った英雄的な王子コーマックが受け継ぐはずでした。
しかしコーマックもまた父の死の直後に悲劇的な最期を遂げ、アルスター王家の正統な継承は途絶えてしまいます。
そもそもオハンは「コンホヴァル王の危機に悲鳴を上げる」という、王の生命とリンクしたような能力を持っていました。
コンホヴァル王が死んだ今、オハンが再び叫び声を上げることはありません。
持ち主の危機を叫んで知らせたオハンも、偉大な王と共に静かに土の中で眠りについたのかもしれません。



古代アイルランドでは、偉大な王や英雄が死んだ際には、その愛用した武具を共に埋葬するのは一般的な敬意の表れでした
オハンが現代作品に与える影響


オハンは「最強の盾」として、現代作品ではとくにMMORPGなどで高い知名度を誇ります。
『ファイナルファンタジーXI (FF11)』において、オハンはイージス(アイギスの盾)と並ぶ最強の盾(エンピリアンウェポン)として登場します。



作るのが非常に大変ですが、完成すれば「物理攻撃をほぼ無効化する」ほどの鉄壁の防御力を誇り、多くのプレイヤー(ナイト)の憧れとなりました
また「カラドボルグ(暗黒騎士の最強武器)」と同じ作品内で共演しており、神話通りの「矛と盾」の関係が再現されています。
他にも『ファイナルファンタジーXIV (FF14)』でも、高レベル帯の装備として登場します。



オハンは神話での「ほこたて対決」と同じように、現代作品でもカラドボルグとともに最強の盾vs最強の剣対決を演じているのです








