
| 名称 | プシュパカ・ヴィマナ |
|---|---|
| 神話体系 | インド神話(ラーマーヤナ / マハーバーラタ) |
| 所有者 | クベーラ (ラーヴァナ、ラーマ) |
| 製作者 | 工匠神ヴィシュヴァカルマン |
| 形状 | 空を飛ぶ神殿・戦車・宮殿・円盤・塔状構造物など多様 |
| 主な能力 | 高速飛行 思考操縦 座席が無限に増える |
プシュパカ・ヴィマナはインド神話に出てくる富の神クベーラの乗り物です。
まいヴィマナとは、インド神話に登場する「空飛ぶ宮殿」あるいは「飛行戦車」を指す総称です
「プシュパカ」は「花」を意味し、その名の通り花々や宝石で飾られた、都市のように巨大で美しい乗り物と描写されます。
つまりプシュパカ・ヴィマナは剣や槍のような「神の武器」ではなく、神々や英雄の力を最大限に引き出すための移動・指揮・象徴装置です。
プシュパカ・ヴィマナは現代の飛行機とは異なり、搭乗者の「思考(意志)」によってコントロールされ、どれだけ多くの人が乗っても「必ずあと一人分の空席ができる(定員オーバーがない)」という不思議な性質を持っています。
その描写の具体性から、現代では「古代インドには超古代文明(航空技術)があったのではないか?」という「古代宇宙飛行士説」の根拠として頻繁に取り上げられるオーパーツ的存在です。
古代インドのハイテク天空戦車について詳しく解説します。
プシュパカ・ヴィマナ誕生秘話


Surya Narayana.
プシュパカ・ヴィマナの誕生には、スダルシャナ・チャクラ・トリシューラと同じく「太陽」が深く関わっています。
太陽神スーリヤの光と熱があまりに強すぎたので、妻サンジュニャーはとても一緒にはいられず父であり工匠神のヴィシュヴァカルマンに相談します。


Vishwakarmaji.(2006年)
ヴィシュヴァカルマンは「光が強すぎるのが原因だ」としてスーリヤを回転台に乗せ、その体(光と熱)をガリガリと削り取りました。
こうして太陽の輝きは適度に抑えられ、夫婦は仲良く暮らせるようになったのですが、削り取られた「太陽の破片(エネルギーの塊)」が地上に落ちました。
ヴィシュヴァカルマンはこの「太陽の削りカス」を集めて神々の武器や乗り物を作ったとされる伝承があり、3つの最強の神具が代表されています。
- スダルシャナ・チャクラ(ヴィシュヌの円盤)
- トリシューラ(シヴァの三叉槍)
- プシュパカ・ヴィマナ(空飛ぶ宮殿)



ヴィマナは「神の武器」と対をなす「神の乗り物」であり、創造神ブラフマー、あるいは富の神クベーラのために作られたものでした
プシュパカ・ヴィマナの能力


プシュパカ・ヴィマナは、ただ空を飛ぶだけではなく現代の航空機すら凌駕するスペックを持っています。
- 思考による操縦
- 無限の収容能力(定員なし)
- 変幻自在の速度と高度
- ステルス機能・透明化(後世解釈・派生伝承)
プシュパカ・ヴィマナはハンドルやレバーではなく、主人の「どこそこへ行きたい」「速く飛べ」という思考(マインド)を読み取って自律飛行できると言われています。
また、魔法の力によってどれだけ多くの兵士や客が乗っても「常にあと1人分の座席がある」状態になるので、決して満員になりません。
さらに、雲の上を飛ぶことも戦場を高速で駆け抜けることも自由自在です。



伝承によっては姿を消したり、カモフラージュする機能があったとも言われています
インド神話の空中要塞は格付けするとは何位にランクインするのでしょうか?
気になる順位はインド神話の最強武器ランキングの記事で発表していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
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プシュパカ・ヴィマナは水銀(マーキュリー)エンジン?
ヴィマナを語る上で外せないのが、20世紀になってから発見(あるいは捏造)された謎の古文書『ヴィマニカ・シャストラ』です。
この古文書には、ヴィマナの構造やパイロットの訓練法、さらには「水銀(マーキュリー)エンジン」の仕組みまでが図解入りで記されているとされ、オカルトファンの心を鷲掴みにしました。



実際には20世紀初頭にチャネリングで書かれたものとされていますが、「古代インドのハイテク」というロマンを決定づけました
プシュパカ・ヴィマナの所有者はクベーラ


Kubera, the Divinity of Wealth with Eight Horsemen.(19世紀)
プシュパカ・ヴィマナの所有者は富の神クベーラです。
しかし、そのあまりの便利さゆえに奪い合いの対象となり、魔王や英雄も一時的に所有者となりました。
- 初代:クベーラ(富の神)
正当な所有者
ランカー島(現在のスリランカとされる)の黄金の都で、ヴィマナに乗って優雅に暮らしていた - 2代目:ラーヴァナ(魔王)
クベーラの異母弟
激しい修行によりブラフマー神から無敵の力を得たラーヴァナは、兄を攻撃してランカー島を追放
ヴィマナを力づくで奪い取り、魔王の「空飛ぶ司令塔」として恐れられた - 3代目:ラーマ(英雄)
『ラーマーヤナ』の主人公
ラーヴァナを倒した後、ヴィマナを接収
戦争が終わった後、故郷のアヨーディヤーへ凱旋するために使用 - 最終:クベーラへ返還
ラーマは私物化することなく、本来の持ち主であるクベーラ神にヴィマナを返却



英雄ラーマのアヨーディヤーへの凱旋は、「世界初の航空路線」とも言われています
プシュパカ・ヴィマナにまつわる神話


Pushpaka Viman.
プシュパカ・ヴィマナにまつわる神話をまとめました。
タップで飛べます
異母兄クベーラからの強奪


Ravana seizes the chariot Puspaka from Kuvera.(1597年)
プシュパカ・ヴィマナの持ち主である富と財宝の神クベーラと魔王ラーヴァナは、実は同じ父(聖仙ヴィシュラヴァス)を持つ異母兄弟の関係にありました。
かつてクベーラは、黄金の都ランカー島(現在のスリランカとされる)を拠点とし、父から譲り受けたプシュパカ・ヴィマナに乗って世界を優雅に移動していました。
しかし、野心に燃える弟ラーヴァナは、創造神ブラフマーに激しい苦行を捧げて「神々にも悪魔にも殺されない」という無敵の肉体を手に入れます。
絶大な力を得たラーヴァナは、兄クベーラに対して「ランカー島とヴィマナを明け渡せ」と脅迫。
平和を好むクベーラは父の助言もあって争いを避け、泣く泣く黄金の都と空飛ぶ戦車を弟に譲り渡してヒマラヤの山奥(カイラス山)へと退去しました。
こうして神の乗り物ヴィマナは魔王ラーヴァナの手に渡り、世界中を恐怖に陥れる「空飛ぶ司令塔」として悪用されることになったのです。
世界初の空中戦・怪鳥ジャターユとの戦い


Ravana fighting with Jatayu.(1914年)
魔王ラーヴァナがシータ姫をプシュパカ・ヴィマナに乗せて誘拐した際、それを目撃した巨大な鷲の王ジャターユが救出に向かいました。
ジャターユは老齢の身でありながら、空中でプシュパカ・ヴィマナに体当たりし、魔王ラーヴァナと壮絶な空中戦を繰り広げました。
ラーヴァナの弓を折り、戦車の屋根や装飾を破壊するなど善戦し、ラーヴァナを墜落寸前まで追い詰めました。
しかし、最終的には力の差で及ばず、チャンドラハースによって翼を切り落とされ、地上に墜落してしまいます。
シータ姫はそのままプシュパカ・ヴィマナで連れ去られてしまいましたが、瀕死のジャターユは後から追ってきたラーマとラクシュマナに「シータ姫がラーヴァナに南の方角へ連れ去られた」という重要な情報を伝えてから息絶えました。
神話史上稀に見る、怪獣 vs UFOの「ドッグファイト(空中戦)」が描かれた有名なシーンです。
ディワリ(光の祭り)の起源


Lighting Lamps!.
魔王ラーヴァナを倒したラーマ王子は、プシュパカ・ヴィマナに乗って故郷アヨーディヤーへ帰還します。


Pushpakviman.(1910年)
徒歩なら何ヶ月もかかる距離を、プシュパカ・ヴィマナはひとっ飛びで移動しました。
アヨーディヤーの人々は、帰ってきた英雄とヴィマナを着陸させるため、街中に無数のランプ(灯明)を灯して滑走路のように照らしました。
これが現在もインド最大の祭りである「ディワリ(光の祭り)」の起源の一つと言われています。
プシュパカ・ヴィマナが現代作品に与える影響


プシュパカ・ヴィマナは「空中神殿」「神の戦闘兵器」として、多くの現代作品にも影響を与えています。



プシュパカ・ヴィマナそのものでなくても、空中神殿のモチーフとしても登場します
ゲーム作品
- 『Fate』シリーズ
英雄王ギルガメッシュの宝具「王の御座(ヴィマナ)」として登場
黄金とエメラルドでできたハイテク戦闘機として描かれ、核兵器級の古代兵器を雨のように投下
SF的・オリジナル解釈として「水銀を燃料とするソーラーシステム」という設定も採用されている - 『女神転生』シリーズ
「古代の空飛ぶ機械」として、しばしばSF的解釈がなされるメガテンの世界観(黄金スペースシャトルなど)と結びついて語られる - 『ファイナルファンタジー』シリーズ
古代文明の遺産や飛空艇に関連して名称や概念が背景設定に影響を与えている可能性
漫画・アニメ・映画
- 『天空の城ラピュタ』
空に浮かぶ巨大な都市や兵器というイメージは、インド神話の「空飛ぶ都市(サウバなど)」やヴィマナの伝承と共通している - 『風の谷のナウシカ』
武器化された空中都市は思想的にヴィマナと近い - 『マギ』
「空中宮殿」「神殿型飛行物体」「神の力を宿す乗り物」はヴィマナの設定にインスパイアされている可能性 - 『エターナルズ(Marvel)』
映画の中で、インド風の宇宙船「ドーモ」が登場するが、デザインのモチーフにヴィマナが含まれていると言われている
プシュパカ・ヴィマナは古代インドの空飛ぶ兵器としてだけではなく、「空中要塞」の元祖として現代でも愛されています。
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