
| 名称 | スダルシャナ・チャクラ |
|---|---|
| 神話体系 | インド神話(ヒンドゥー教) |
| 所有者 | リグ・ヴェーダ:維持神ヴィシュヌ マハーバーラタ:英雄クリシュナ |
| 製作者 | 工匠神ヴィシュヴァカルマン (またはシヴァ神からの授かりもの) |
| 形状 | 108の刃を持つ、回転する炎の円盤 |
| 主な能力 | 思考制御による追尾 魔と不浄の浄化 宇宙の秩序(ダルマ)の守護 |
スダルシャナ・チャクラはインド神話に出てくる維持神ヴィシュヌが持つ円盤状の武器です。
まいヴィシュヌはシヴァ、ブラフマーとともにインド神話三神の一柱とされています
「チャクラ」は「輪」を意味し、武器としては「戦輪(チャクラム)」と呼ばれます。
スダルシャナ・チャクラは縁(ふち)に108本の鋭いノコギリ歯がついた円盤で、人差し指の上で高速回転させ、敵に向かって投げつけます。
放たれたチャクラは敵の首を瞬時に切断し、ブーメランのように主人の指先に戻ってくるという、自動追尾・自動回収機能を備えた超高性能な投擲武器です。
その本質は単なる物理攻撃兵器ではなく、「宇宙の秩序(ダルマ)を守るための絶対的な強制力」と言われています。
敵の首を刎ねるだけでなく、あらゆる不浄や毒を焼き尽くす聖なる炎を纏っており、現代のゲームなどに登場する「チャクラム(円月輪)」の元祖となった伝説の神具について解説します。
スダルシャナ・チャクラ誕生秘話


Surya Narayana.
スダルシャナ・チャクラの起源には、大きく分けて2つの伝説が存在します。
説①太陽神スーリヤのかけらを集めて作られた
太陽神スーリヤはあまりにも強烈な熱と光を放っていたため、妻であるサンジュニャーはその熱さに耐えられず、逃げ出してしまいました。
困ったスーリヤは、義理の父である工匠神ヴィシュヴァカルマンに相談します。


Vishwakarmaji.(2006年)
ヴィシュヴァカルマンは「光が強すぎるのが原因だ」としてスーリヤを回転台に乗せ、その体(光と熱)をガリガリと削り取りました。
こうして太陽の輝きは適度に抑えられ、夫婦は仲良く暮らせるようになったのですが、削り取られた「太陽の破片(エネルギーの塊)」が地上に落ちました。
ヴィシュヴァカルマンはこの「太陽の削りカス」を集めて鍛え上げ、3つの最強の神具を作りました。
- スダルシャナ・チャクラ(ヴィシュヌの円盤)
- トリシューラ(シヴァの三叉槍)
- プシュパカ・ヴィマナ(空飛ぶ宮殿)



スダルシャナ・チャクラは「太陽の熱エネルギーそのもの」で出来ているため、太陽と同じ灼熱の輝きと、邪悪を焼き尽くす浄化の力を持っています
説②シヴァ神から譲り受けた


Bearded Shiva.(1940年)
ある時、ヴィシュヌは強力な悪魔を倒す力を得るため、破壊神シヴァに祈りを捧げました。
ヴィシュヌは「1000本の蓮の花」を供える儀式を行いましたが、シヴァは彼を試すために花を1本隠してしまいます。
花が足りないことに気づいたヴィシュヌは、迷わず「自らの目玉」をえぐり出して花の代わりに捧げました(ヴィシュヌの目は蓮の花のように美しいため)。
この凄まじい献身に感動したシヴァは、ヴィシュヌに最強の円盤「スダルシャナ・チャクラ」を授けたと伝えられています。
スダルシャナ・チャクラの能力


スダルシャナ・チャクラは所有者の「意思」によって自在にコントロールされ、秩序を乱すあらゆるものを排除します。
- 意思による自在な操作(Willpower)
所有者が「行け」と念じるだけで敵に向かって飛び、「戻れ」と念じれば指先に戻る
一度放たれれば、目的を果たすまで止まることはない - ダルマ(正義)の執行と破壊力
チャクラは「ダルマ(宇宙の法)」を守るための存在
悪・魔族(アスラ)に対しては無慈悲な破壊力を発揮し、軍隊ごと一撃で壊滅させるほどの威力でその首を刎ね飛ばす - 不浄や毒を焼き尽くす浄化の力
太陽の炎そのものであるチャクラは物理的な敵だけでなく、目に見えない「邪悪」や「不浄」も焼き尽くす
あらゆる「毒」を中和・無効化する力を持つとされ、信仰の対象としては病気平癒や厄除けのご利益があるとされる



スダルシャナ・チャクラの能力は「宇宙の秩序(ダルマ)を守るための絶対的な強制力」と言えます
インド神話の三大神の力は格付けするとは何位にランクインするのでしょうか?
気になる順位はインド神話の最強武器ランキングの記事で発表していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
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スダルシャナ・チャクラの形状


The Hindu God Vishnu LACMA M.70.5.1 Chakra (cropped).(13世紀)
スダルシャナ・チャクラはヴィシュヌの四神具(法螺貝・棍棒・円盤・蓮)の一つで、中央に穴が開いたドーナツ状の円盤です。
外側は剃刀のように鋭利な刃になっており、さらに108個(あるいは無数)の突起やギザギザになっています。
二重の列になった無数の刃が、それぞれ逆方向に回転しているとも描写されます。
また太陽のエネルギーで出来ているため、回転すると激しい光と熱を発します。



ヴィシュヌやクリシュナは、これを右手の人差し指に引っ掛けてクルクルと回した姿で描かれるのが定番です
スダルシャナ・チャクラの所有者は維持神ヴィシュヌ


Vishnu – Hindu Pantheon.(1842年)
スダルシャナ・チャクラの所有者はヴィシュヌ、およびヴィシュヌの化身であるクリシュナです。
ヴィシュヌ・クリシュナの武器
ヴィシュヌは 世界の「維持」を司る最高神で4本の腕を持ち、そのうちの1本に常にチャクラを持っています。
ちなみにヴィシュヌの力そのものと言われる武器ナラーヤナーストラは「戦おうとする意志」そのものを自動的に感知して攻撃します。
クリシュナはヴィシュヌの化身(アヴァターラ)である英雄です。
叙事詩『マハーバーラタ』においてはスダルシャナ・チャクラを愛用し、多くの敵将を葬りました。



ヴィシュヌには10種のアヴァターラがあるとされ、一種の複合神としての一面を持つ神です
スダルシャナ・チャクラにまつわる神話


スダルシャナ・チャクラにまつわる神話をまとめました。
タップで飛べます
秩序を守る:シシュパーラの処刑(マハーバーラタ)


Krishna kills Shishupala.(1850年)
スダルシャナ・チャクラにまつわる最も有名なエピソードは、英雄クリシュナによる「シシュパーラ王の処刑」です。
ある時、悪王シシュパーラがクリシュナを激しく罵倒しました。
クリシュナはかつてシシュパーラの母に「息子の過ちを100回までは許す」と約束していたため、黙って耐えていました。
しかし、シシュパーラの暴言がついに101回目に達した瞬間。
クリシュナは静かに「約束の数は超えた」と告げると、指先で回していたスダルシャナ・チャクラを解き放ちました。
意思に従って飛んだチャクラは瞬時にシシュパーラの首を刎ね飛ばし、すぐさまクリシュナの指先に戻りました。
これは単なる復讐ではなく、「これ以上の悪(アダルマ)は見過ごせない」という秩序を守るための処刑だったのです。
太陽を隠す奇跡:ジャヤドラタの討伐(クルクシェートラ戦争)


Kurukshetra.
大戦争の中、敵将ジャヤドラタによって息子を殺された英雄アルジュナは「明日の日没までにジャヤドラタを殺せなければ、私は火に飛び込んで自害する」という無謀な誓いを立ててしまいます。
敵軍はこれを好機と見て、ジャヤドラタを徹底的に隠して時間を稼ぎました。
刻一刻と太陽が沈み、ついに日没の時間が訪れます。
あたりが暗闇に包まれると敵軍は勝利を確信し、隠れていたジャヤドラタも「アルジュナが死ぬ様を見てやる」と油断して姿を現しました。
しかし、これはクリシュナの作戦でした。
クリシュナはスダルシャナ・チャクラを空に放ち、太陽を覆い隠して「日没(日食)」を演出していたのです。
ジャヤドラタが顔を出した瞬間、クリシュナはチャクラを手元に戻しました。
再び太陽が輝き出したことに敵が動揺する隙を突き、アルジュナは見事にジャヤドラタを射ち倒しました。
チャクラが「天体操作」すら可能であることを示す有名なエピソードです。
聖地の誕生:サティーの身体の切断


Sati shiva bishnu.jpg by Sripat Srikhanda / CC BY 2.0
シヴァの妻サティーは、実の父によるシヴァへの侮辱に耐えかねて、最後には火に飛び込んで自害してしまいます。
最愛の妻を失ったシヴァ神は悲しみと怒りで発狂し、サティーの焼死体を抱きかかえたまま、世界を破壊する「ルドラの舞い」を踊り始めました。


Shiva as the Lord of Dance LACMA edit.(949年)
このままでは全宇宙が崩壊してしまうと悟ったヴィシュヌは、シヴァを止めるためにスダルシャナ・チャクラを投げつけました。
チャクラはシヴァが抱えるサティーの遺体を51の破片に切り刻みました。
遺体がなくなったことでシヴァ神は我に返り、破壊の舞いは止まりました。
地上に落ちたサティーの身体の破片は、それぞれが女神の力が宿る「シャクティ・ピータ(聖地)」となり、現在もインド各地で信仰の対象となっています。
ヴェーダの奪還:馬頭の魔神ハヤグリーヴァの討伐


Shiva receving hayagriva.(1598年)
ある時、馬の首を持つ魔神(アスラ)ハヤグリーヴァが創造神ブラフマーから聖典「ヴェーダ」を盗み出し、深い海の底へ隠れてしまいました。
世界の真理であるヴェーダが失われたことで、世界は混乱に陥ります。
ヴィシュヌは魚の姿(マツヤ・アヴァターラ)となって海に潜り、魔神ハヤグリーヴァと対決しました。
激しい戦いの末にヴィシュヌはスダルシャナ・チャクラを放ち、魔神の首を刎ねてヴェーダを取り戻しました。
この物語は、チャクラが「知恵と真理」を守るために振るわれることを象徴しています。
スダルシャナ・チャクラが現代作品に与える影響


「チャクラム(円月輪)」という武器カテゴリー自体が、このスダルシャナ・チャクラを元祖としています。
- 『ファイナルファンタジー』シリーズ
モンクや踊り子の武器として「チャクラム」が登場
円盤を投げて攻撃するスタイルが定着 - 『Fate/Grand Order』
アシュヴァッターマンの宝具「スダルシヤン・チャクラ・ヤマラージャ」として登場
炎の回転円盤で敵を焼き尽くす対軍宝具 - 『女神転生』シリーズ
ヴィシュヌ由来の強力剣で「スダルシャナ」という名前で登場
強力な物理・万能属性のスキルやアイテムとして登場することがある - 『グランブルーファンタジー(グラブル)』
「スダルシャナ」という名前の剣として登場
朝陽のように敵の視界・意志を奪うエフェクト



スダルシャナ・チャクラは、現代作品でも多くのゲーム作品で愛されています
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