
| 名称 | スヴァリン |
|---|---|
| 神話体系 | 北欧神話 |
| 所有者 | ソール |
| 製作者 | 不明 |
| 形状 | 太陽の熱を遮熱する巨大な盾 |
| 主な能力 | 太陽の熱から太陽馬車や大地を守る |
スヴァリンは北欧神話に出てくる太陽の女神ソールの防具です。
まい北欧神話においては、空に輝く「太陽」すら地上を焼き尽くす恐怖の対象となり得ます
そんな灼熱の太陽から大地と海を守り続けている伝説の盾スヴァリン。
古ノルド語で「冷やすもの」を意味するスヴァリンは、太陽の馬車の最前線に設置され、世界が燃え尽きるのを防いでいます。
スヴァリンは戦いの道具ではなく、世界の環境維持装置として働く北欧神話の隠れた守護神です。
以下でスヴァリンについて詳しく解説していきます。
スヴァリン誕生秘話


Odin and his brothers create the world.
スヴァリンの正確な製作者は、神話の原典(『古エッダ』)には記されていません。
有名なミョルニルやグングニルのように「ドワーフが作った」という記述はなく、スヴァリンの起源は謎に包まれています。
しかし、作られた時期は「天地創造の時代」まで遡ると考えられます。
神々がムスペルヘイムの火花から「太陽」を作って空に配置した際、その灼熱から大地を守るために最初からセットで用意されたはずだからです。
このことから、スヴァリンはトールのハンマーなどよりも遥かに古くから存在する神話最古の防具の一つと言えるでしょう。



スヴァリンは世界の始まりから存在していたと考えられます
スヴァリンの能力


The Chariot of the Sun by Collingwood.(1908年)
スヴァリンには太陽の熱から太陽馬車や大地を守る能力があります。
スヴァリン(Svalinn)は「Svala(冷やす)」という言葉に由来し、「冷やすもの(The Cooling One)」を意味します。
北欧神話では、太陽(ソール)はムスペルヘイム(炎の国)の火花から生まれたため、凄まじい熱を発しています。
もし太陽馬車がそのまま空を走れば、太陽の灼熱で海は沸騰し、大地は燃え上がり、馬車を引く馬たち(アルヴァクとアルスヴィズ)さえも焼け死んでしまいます。
そこで、太陽の直前に「スヴァリン」が設置されました。
スヴァリンが強烈すぎる熱を遮断(あるいは冷却)することで、地上には「適度な光と暖かさ」だけが届くようになっているのです。



スヴァリンは太陽馬車に設置されており、もし外れれば世界は瞬く間に炎に包まれ「ラグナロク(終末)」のような状態になると言われています
スヴァリンの所有者はソール


Máni and Sól by Lorenz Frølich.(1895年)
スヴァリンを管理し、太陽の馬車を駆る御者は、北欧神話の太陽の女神ソール(Sól)です。
ソールは巨人ムンディルファリの娘であり、月の神マーニ(Máni)の姉です。
神々によって空に上げられ、太陽の運行を任されたソールは毎日太陽を積んだ馬車に乗り、東から西へと空を駆け抜けています。
この馬車の最前部に設置されているのが、冷却盾スヴァリンです。
ソールはラグナロクまで狼と追いかけっこをしている


The Wolves Pursuing Sol and Mani.(1909年)
ソールが毎日猛スピードで空を走っているのには理由があります。
実はソールの背後には魔狼スコル(Sköll)が迫っており、太陽を飲み込もうと常に追いかけ回しているからです。
もしソールが少しでもスピードを緩めれば太陽は狼に食われ、世界は闇に閉ざされてしまいます。



スコルが太陽を、ハティが月を飲み込み、世界が闇に包まれるとラグナロクが起こると言われています
ソールは「世界を守る盾(スヴァリン)」で熱を防ぎつつ、「世界を滅ぼす狼」から逃げ続けるという、極限の任務を背負っているのです。
ソールの馬車の動力(アルヴァクとアルスヴィズ)


The Chariot of the Sun by Collingwood.(1908年)
ソールが乗る太陽馬車を引いているのは、2頭の神馬です。
- アルヴァク(Arvakr): 「早起き」の意
- アルスヴィズ(Alsviðr): 「極めて速い」の意
スヴァリンの最も重要な役割は、「太陽の直近にいる、この2頭の馬を守ること」です。
もしスヴァリンがなければ、2頭の神馬は自身の引く太陽の熱で瞬時に焼き殺されてしまうと言われています。
スヴァリンにまつわる神話


スヴァリンについては、『古エッダ』の「グリームニルの言葉」の中で語られています。
「スヴァリンという名の盾が立っている、 輝く神(太陽)の前に。 もしその盾が落ちれば、 山も波も燃え尽きると私は知っている」
短い詩ですが、スヴァリンの重要性を十分に物語っています。
魔剣グラムや雷槌ミョルニルが「敵を倒す」武器なら、スヴァリンは「世界を生かす」ための防具なのです。
スヴァリンがあるおかげで北欧の世界には四季があり、人々が暮らせる環境が保たれています。
スヴァリンが現代作品に与える影響


現代のゲームやファンタジー作品でも、スヴァリンの「防御性能」や「冷却属性」が採用されています。
- 『ファイナルファンタジー』シリーズの「スヴェル」
- 遊戯王マスターデュエルの「極星宝スヴァリン」
ゲームでスヴァリンは、高い防御力を持つ盾や、氷属性・水属性の耐性を持つ防具として登場することが多いです。
漫画『ONE PIECE』にも、巨兵海賊団のドリーとブロギーの合体技「太陽の盾(スヴァリン)隔(スキールダ)」としても登場します。



それぞれの腕に装備した盾で相手の攻撃を防御し、力のまま押し返して吹っ飛ばすカウンター攻撃です








