
| 名称 | ティルフィング(ティルヴィング) |
|---|---|
| 神話体系 | 北欧神話 |
| 所有者 | スヴァフルラーメ、アングルティーム、ヘルヴォル、ヘイドレク |
| 製作者 | ドワーフ(ドヴァリン、ドゥリン) |
| 形状 | 黄金の柄を持つ両刃の剣 |
| 主な能力 | 常に勝利をもたらし、鉄をも切る決して錆びない剣 3つの呪いで持ち主に死をもたらす |
ティルフィングは北欧神話に出てくるガルザリーキ王スヴァフルラーメの武器です。
まいスヴァフルラーメによって無理やり作らされたティルフィングは、持ち主に不幸を招いて持ち主に悲劇を何度ももたらした呪いの剣です
北欧神話に登場する武器の中でも、ミョルニルやグングニルとは対極の存在、それが「呪われた魔剣」ティルフィングです。
持ち主に勝利をもたらすと同時に、それ以上の「破滅」をもたらす運命を強制するティルフィングは、何世代にもわたる一族の悲劇の中心となりました。
以下でティルフィングの不吉な誕生秘話、その恐ろしい呪いの能力、そして剣に翻弄された所有者たちの神話について詳しく解説します。
ティルフィング誕生秘話


Svafrlami and the dwarves.(1895年)
ティルフィングは北欧神話に登場する剣です。
製作者はドワーフのドヴァリンとドゥリンと言われています。
ある日、狩りの帰りに2人のドワーフ、ドヴァリンとドゥリンに出会ったスヴァフルラーメ。
スヴァフルラーメはオーディンの孫であり、ガルザリーキの王でした。
ドワーフが最高の工匠であることを知っていたスヴァフルラーメはドワーフたちを捕らえて、解放して欲しければ最高の剣を作れといいます。
スヴァフルラーメが出した条件
- 黄金の柄と装飾を持つ
- 決して錆びない
- 鉄鋼と同じように石をも切り裂く
- 持ち主に常に勝利をもたらす
ドワーフ達はスヴァフルラーメの脅迫に屈して、要求通りの完璧な剣を製作しました。



しかしドワーフ達は強制労働への怒りと屈辱から、剣が完成する最後の瞬間に恐ろしい3つの呪いをかけました
ティルフィングの能力


ティルフィングにはスヴァフルラーメが望んだ素晴らしい能力と、ドワーフが残した恐ろしい呪いが混在しています。
スヴァフルラーメが望んだ能力
- 黄金の柄と装飾を持つ
- 決して錆びない
- 鉄鋼と同じように石をも切り裂く
- 持ち主に常に勝利をもたらす
ドワーフが残した呪い
- 血の渇望:一度鞘から抜かれれば、生き血を吸うまで戻らない
- 破滅の運命:持ち主に破滅の運命をもたらす
- 依頼主の死:スヴァフルラーメ自身の死の原因となる
3つの強力な呪いこそティルフィングの本質的な能力であり、持ち主の意思に関係なく強制的に悲劇を引き起こしました。



北欧神話には似た呪いを持つ剣「ダーインスレイヴ」も登場します
ティルフィングの所有者はスヴァフルラーメと一族


King Svafrlame Secures the Sword Tyrfing.(1906年)
ティルフィングは依頼主のスヴァフルラーメ王から、子孫に渡って受け継がれました。


- スヴァフルラーメ:最初の持ち主、破滅
- アールグリーム(アルングリームル):スヴァフルラーメから略奪
- アングルティーム(アンガンチュール):父から継承
- ヘルヴォル:父の墓から発掘・継承
- ヘイドレク(ヘイズレクル):母から継承、破滅



一度はアングルティームとともに埋葬されたティルフィングですが、盾乙女ヘルヴォルの執念でティルフィングが戻ったのです
ティルフィングにまつわる神話


ティルフィングにまつわる神話をまとめました。
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- スヴァフルラーメは奪われた剣で最期を迎えた(一度目の悲劇)
- 盾乙女ヘルヴォルの執念でティルフィングが戻る
- 呪いの連鎖によって兄を斬ってしまったヘイドレク(二度目の悲劇)
- 捕虜に剣を奪われて最期を迎えたヘイドレク(三度目の悲劇)
スヴァフルラーメは奪われた剣で最期を迎えた(一度目の悲劇)
ドワーフからティルフィングを受け取ったスヴァフルラーメ王は、数々の戦場で勝利を納めました。
しかしベルセルクのヨトゥンヘイム出身のベルセルク・アールグリーム(アルングリームル)に決闘を挑まれます。
スヴァフルラーメは決闘を受け、ティルフィングはアールグリームの盾を切り裂きました。
しかしティルフィングはそのままて地面に突き刺さり、アールグリームはスヴァフルラーメの腕を切り落としてティルフィングを強奪。
奪ったティルフィングでスヴァフルラーメを倒しました。



これによってドワーフの「依頼主の死」の呪いが成就しました
盾乙女ヘルヴォルの執念でティルフィングが戻る


hervor-henter-sværdet-hos-angartyr.(1816年)
アールグリーム(アルングリームル)に渡ったティルフィングは、12人の息子のうちアングルティーム(アンガンチュール)に継承されました。


そのアングルティームがスウェーデンの英雄・ヒャールマルとの決闘で亡くなると、ティルフィングはアングルティームとともにサムセー島の墓に埋葬されました。
アングルティームの娘で盾乙女(女戦士のこと)と呼ばれるヘルヴォルは、男装してサムセー島へ向かい一族の剣ティルフィングを取り戻そうとします。
ヘルヴォルは夜通し父アングルティームの墓に亡霊を呼び出し、「一族の剣を返せ!」と凄まじい執念で要求します。
アングルティームの亡霊は「呪いがお前を滅ぼす」と忠告しますが、ヘルヴォルの執念には敵いません。
ついにティルフィングはヘルヴォルの手に渡りました。



魔剣ティルフィングを得たヘルヴォルは海賊になりますが、しばらくして故郷に戻ってグレシスベリル王のホーフンドと結婚しました
呪いの連鎖によって兄を斬ってしまったヘイドレク(二度目の悲劇)


ティルフィングを継承したヘルヴォルは、やがて2人の息子(兄アングルティーム(アンガンチュール)、弟ヘイドレク(ヘイズレクル))を産みました。
ティルフィングは弟のヘイドレクが継承しましたが、ヘイドレクは気性が荒い男でした。
ある日、兄弟喧嘩の際にヘイドレクはティルフィングを抜いてしまいます。
ヘイドレクの意思とは無関係に、ティルフィングの呪い「血の渇望:一度鞘から抜かれれば、生き血を吸うまで戻らない」が発動。
最愛の兄をティルフィングで斬ってしまいました。
捕虜に剣を奪われて最期を迎えたヘイドレク(三度目の悲劇)


兄を殺めてしまったヘイドレク(ヘイズレクル)は国を追放され、父王ホーフンドの助言を受けながら、のちにレイドゴートランドの王となりました。
しかしある夜、カルパティア山脈で野営中に捕虜の男にティルフィングを奪われて襲われます。
ヘイドレクは亡くなり、ティルフィングの呪いはまたしても成就したのでした。



ティルフィングに呪いをかけたドヴァリンはルーン魔法に長けたドワーフだったこともあり、ティルフィングは何世代にも渡って呪いが続く強力な魔剣となったのでしょう
ティルフィングが現代作品に与える影響


ティルフィングは「呪われた剣(カーストウェポン)」の原型の一つとして、現代作品に強い影響を与えています。
ティルフィングが現代作品に与える影響
「血を吸う魔剣」の設定


ティルフィングの呪い(設定)は現代のゲームや漫画に登場する魔剣の定番になっています。
- 抜けば血を吸うまで鞘に戻らない
- 持ち主の理性を奪う
多くのファンタジー作品で採用されるほど有名なアーキタイプとしてティルフィングの神話は受け継がれています。



ベルセルクの「ドラゴン殺し」や「狂戦士の甲冑」の副作用などもティルフィングの呪いに似ています
デメリットのある最強武器


ティルフィングは「錆びない」「石をも切り裂く」「勝利をもたらす」など素晴らしい能力を持っていますが、大きなデメリット(呪い)も持っています。
現代作品でも「攻撃力が高いが、装備すると呪われる」などの武器があり、まさにティルフィングが元祖とも言える設定です。
同じく北欧神話の呪いを持つ剣としてダーインスレイヴも有名です。



ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが持つヒュドラの毒矢も、持ち主の破滅を招く武器として有名です








