
| 名称 | ヴァジュラ 金剛杵(こんごうしょ) |
|---|---|
| 神話体系 | インド神話(ヒンドゥー教) 仏教 |
| 所有者 | 雷神インドラ(帝釈天) |
| 製作者 | 工匠神トヴァシュトリ |
| 形状 | ダディーチャ仙人の骨でできた雷の化身ともされる |
| 主な能力 | 雷撃を放つ あらゆるものを砕く |
ヴァジュラはインド神話に出てくる雷神インドラ(帝釈天)の武器です。
ヴァジュラ(金剛杵)は、インド神話における雷神インドラ(仏教では帝釈天)が持つ最強の武器です。
サンスクリット語で「ヴァジュラ」とは「雷」と「ダイヤモンド(金剛石)」の両方を意味し、その名の通り「雷のような破壊力」と「ダイヤモンドのような硬さ」を併せ持ちます。
あらゆる魔を打ち砕くその威力から、神話の枠を超えて仏教にも取り入れられ、日本でも密教の法具「金剛杵(こんごうしょ)」として広く知られています。
神話の時代から現代まで伝わる雷神の最強の武器について解説します。
ヴァジュラ誕生秘話


Vritra try to eat indra.
ヴァジュラの誕生には、一人の仙人の壮絶な「自己犠牲」の物語があります。
かつて、世界は「ヴリトラ」という巨大な蛇の怪物によって水をせき止められ、未曾有の干ばつに苦しめられていました。



ヴリトラの強固な鱗と魔力には、一部の神話では神々の王インドラでさえ敗北してしまったと言われています
困り果てた神々は、創造神ブラフマーに助言を求めました。
するとブラフマーは「高潔な修行を積んだダディーチャ仙人の骨で作った武器でなければ、ヴリトラは倒せない」と告げます。
そこでインドラたちがダディーチャ仙人のもとを訪れ、恐る恐る「あなたの骨をください」と頼みました。
なんと仙人は世界を救うためならと快諾し、自ら命を絶ってその肉体を捨てて骨を提供したのです。
工匠神トヴァシュトリがその聖なる骨を削り出し、鍛え上げて完成させたのが、最強の雷武器「ヴァジュラ」でした。
ヴァジュラの能力


ヴァジュラの能力は、その名の由来通り2つの性質を持ちます。
- 雷の力(Vajra)
天候を操り、強力な稲妻を発生させて敵を焼き尽くす
神話では、この一撃で山をも砕いたとされる - 金剛の力(Diamond)
あらゆる物質の中で最も硬く、どんな防御も貫通し、決して壊れることがない
この「絶対に壊れない」「迷いを断ち切る」という性質から、仏教では「煩悩を打ち砕く悟りの智慧(ちえ)」の象徴とされるようになりました。
インド神話の雷神の金剛の力は格付けするとは何位にランクインするのでしょうか?
気になる順位はインド神話の最強武器ランキングの記事で発表していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
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ヴァジュラの形状


Vajra, 10th-13th century AD, bronze – Museum of Vietnamese History – Ho Chi Minh City – DSC06153.(2014年)
ヴァジュラの元々の神話での形状は不明確ですが、一般的には「中央がくびれ、両端が爪のように尖った杵(きね)」の形で描かれます。
また、ヴァジュラは刃の数によって呼び名が変わり、それぞれに意味が込められています。
- 独鈷杵(とっこしょ)
先端が一本
唯一の真理を表す - 三鈷杵(さんこしょ)
先端が三本で、最も一般的な形
身・口・意(行い・言葉・心)の浄化などを表す - 五鈷杵(ごこしょ)
先端が五本
五つの智慧を表す



日本の寺院で弘法大師(空海)像などが手に持っているのは、主にこの「三鈷杵」や「五鈷杵」です
ヴァジュラの所有者は雷神インドラ(帝釈天)


Tiruchchirappalli painting Indra (cropped).(1820-1825年)
ヴァジュラ(金剛杵)の所有者はインドラです。



インドラは雷と嵐を司る神々の王でギリシャ神話のゼウスに相当する存在です
ヴァジュラを振るって魔族(アスラ)と戦いますが、 非常に人間臭い性格をしていることでも有名です。
強敵にビビったり、修行者の邪魔をしたりといったエピソードも豊富ですが、いざという時はヴァジュラで世界を救う英雄神がインドラなのです。
ルドラのヴァジュラ


Rudra.(19世紀)
ヴァジュラはダディーチャ仙人の骨から作られた一点ものですが、ルドラもヴァジュラを持っていたと言われています。



ルドラは、後の「シヴァ神」の原型となった暴風雨の神様です
ただし、ルドラのヴァジュラはインドラのヴァジュラ(ダディーチャ仙人の骨で作ったもの)とは別物と考えられます。
| 項目 | インドラ(帝釈天) | ルドラ(後のシヴァ) |
| 名前 | ヴァジュラ(金剛杵) | ピナーカ(弓) / トリシューラ(三叉槍) |
|---|---|---|
| 正体 | 仙人の骨で作った「物理的な棍棒」 | 「雷」そのものや、雷を矢に見立てたもの |
| ニュアンス | 専用装備(アーティファクト) | 自然現象(能力)としての雷 |
ルドラは雷神というより“暴風雨の神”であり、古代の聖典『リグ・ヴェーダ』では雷そのものを“ヴァジュラ”と呼ぶ表現もあります。
ルドラは「暴風雨の神」なので、彼が落とす「雷(稲妻)」そのものをヴァジュラと呼んでいたのではないでしょうか。
また、神話におけるルドラのトレードマークは、ヴァジュラ(杵)ではなく「弓矢」です。
「ルドラの放つ矢」が天から降る「雷」と同一視されるため、「ルドラの矢=雷=ヴァジュラ(のような破壊力)」というイメージで語られることもあります。
さらに、ルドラが後に「シヴァ神」として体系化されると、その武器は「トリシューラ(三叉槍)」として定着しました。


Bearded Shiva.(1940年)
三叉槍(フォーク状)とヴァジュラ(両端が尖った杵)は、記号として似た意味(雷の象徴)を持つので、図像や古い記述では混同されたり、同一視されたりすることがあったようです。
ヴァジュラにまつわる神話


He Waters and Sun Set Free to Move Vritra as Naga and Sun.
ヴァジュラの最大の活躍は、誕生のきっかけにもなった「ヴリトラ退治」です。
ダディーチャ仙人の骨から作られたヴァジュラを手にしたインドラは、再び怪物ヴリトラに挑みます。
ヴリトラは世界中の水を飲み干し、巨大な山脈のように横たわっていましたが、インドラはヴァジュラの一撃を眉間に叩き込みました。
最強の硬度を持つヴァジュラはヴリトラの堅牢な守りを粉砕し、見事に怪物を討ち取ることに成功します。
解放された水は川となって海へ流れ込み、大地には恵みの雨が戻りました。



この戦いは、自然界における「干ばつ(ヴリトラ)」を「雷雨(インドラ)」が打ち破る現象を神話化したものだと考えられています
ヴァジュラが現代作品に与える影響


ヴァジュラは「最強の雷武器」という設定と、独特なビジュアルから、多くのバトル作品で採用されています。
- ゴッドイーター シリーズ
虎のような大型アラガミ(敵モンスター)
初代のパッケージイラストで象徴的存在で、電撃攻撃が強敵 - Fate/Grand Order
インドラの宝具/従神的存在
人格を持ち、人型(子供姿)で登場
雷の力で戦う - マクロスF
バジュラ(ヴァジュラの別表記)として登場
地球外生命体で群れを成す超時空生物
V型ウイルスで有名 - 真・女神転生シリーズ
金剛杵(ヴァジュラ)系の武器として登場
サブカルチャーではありませんが、日本の密教寺院に行けばほぼ確実に実物(法具としての金剛杵)を見ることができます。


Vajra offen fünfstrahlig.(2025年)



「アニメで見たあの武器が、普通にお寺に置いてある」という面白さは、ヴァジュラならではの魅力と言えるでしょう
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